社内調整型ビジネスマンよ――ピュアな心に問いかけよう:継続する「シャドーワーク」のために(2/2 ページ)
社内調整の巧拙はプロジェクトの成否を決める。シャドーワークを推進するプロデューサー型のワークスタイルへの変化も、そうしたスキルが影響する。
社内調整型ですが、何か?
4つのワークスタイルを見た反応はさまざまだろう。「プロデューサー型」については、プロデューサーという言葉の持つ印象によっては、「プロデューサー型なんて、うちの会社にはいない。社内調整で精一杯。別にそれのどこが悪いのか、ともいいたくなる」という意見もある。
「社内調整型」は「社外パートナーシップ行動」が弱く、意識が内向きになりやすい。またセクト主義的な傾向に陥りやすいというのも特徴だ。
ただ、現実には社内調整は苦労も多いし、大変な仕事だ。調整がうまく行っても、その労はいまひとつ評価が低い。自分が縁の下の力持ち的役割を果たしているところに、カッコ良く主役の座にすわられてはたまらない、という印象ではないか。
しかし、シャドーワークを推進するプロデューサーは手も足も動かさず、高邁な理想だけを話すタイプでは務まらない。社内調整も社外とのネットワークもまさに縁の下の力持ちとして働く人である。
徳岡氏は次のように話す。
「社内調整型の人は、『プロデューサー型』へ脱皮できる可能性がとても高いのです。ただし、その調整が自分の部署や部門のエゴに染まっていないかもう一度振り返って考えてみてほしい。プロデューサーというと、策士のようなイメージがありますし、実際、策を講じる必要が出てくる時もあります。ただ、その策はある一部の利益だけを考えたものであったはならない」
想いと実践を両輪にする
また徳岡氏は、考えることと行動すること、両方の動きが見える人こそ「プロデューサー型」の典型だと話す。
「まず、考えを深く持っているかどうかです。ちょっと新しいもの、珍しいものに飛びつくのではなく、自分の想いは何なのか、を深いところでつかむことではないでしょうか。自分が仕事でかかわった製品やサービスをより多くの人に知ってもらいたい、というのは分かりやすいですね。しかし、その製品に対する想い、愛情、サービスに対する考え方をどこまで深く考えられるかです。また、そうした想いを他の人に話し、共感を得ることも大切ですが、それだけではシャドーワークはなかなか継続しません。自ら社内外との調整役をしたり、黒子になって行動することができるかどうか、で協力者の態度も変ってきます」
自説を説いて回り、共感してもらうというオルガナイザー的手腕とフットワークの良さ、行動力の両方が必要というわけだ。
社内を駆けずり回り、各方面での調整に明け暮れているとき、「これって一体何のためにやっているんだろう」とふと立ち止まったときがチャンスだ。自社の製品やサービスに対する自分の想いとは何かを考えてみよう。徳岡氏はいう。
「立ち止まった時こそ、普段は省みないピュアな感覚が鋭敏になっているのです。変わるチャンスは意外な時にやってくるものです。脚光を浴びるプロデューサーよりも、より多くの深い理解者、ともに成長していける仲間をたくさん持つプロデューサーを目指しましょう」
「月刊アイティセレクト」2007年9月号 特集「シャドーワークを使いこなすプロデューサー型社員を目指せ」より)
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