21世紀にふさわしい瓦版の先駆けとなるか――「MSN産経ニュース」開設
マイクロソフトは、産経新聞社、産経デジタルとともに「MSN産経ニュース」を10月1日から開設すると発表した。コンテンツとテクノロジーの融合が新たなメディアのあり方を提示する――。
マイクロソフトは9月25日、産経新聞社および産経デジタルとともに「MSN産経ニュース」を10月1日から開設すると発表した。
「次世代の報道を目指す、そのためにWebファーストの上位概念となるWebパーフェクトの考え方を推進していく」――産経デジタルの近藤哲司取締役が示したMSN産経ニュースのあり方だ。Webパーフェクトは、取材した情報をいち早くインターネットで伝えるWebファーストの実現に加え、質の高いニュースや記事を追求し、完成度と情報量をともに充実させる考えを指す。
そのために産経新聞社は、4人の編集長が交代で紙媒体とWebニュースを編集する組織を国内新聞社で初めて作った。「MSN産経ニュースでは、新聞の締め切りを待たずにスクープを掲載していく」(産経新聞社 住田良能代表取締役社長)というように、Webにおける速報記事のみならず、紙媒体への掲載を優先してきた連載記事や解説記事などのコンテンツを積極的に掲載するという。
MSN産経ニュースは、そのような考えの基、Webにおける新たなニュースサイトを目指し、マイクロソフトとの協業を行った。具体的には、Windows Live Messenger機能を組み込み、ユーザーが興味を持ったニュースをほかの人と共有できるようになった。記事中のキーワードや専門用語などにハイパーリンクが付き、マウスオーバーするとミニウィンドウで検索結果を表示するLive Search サイドビュー機能も加わった。MSN産経ニュースの最新記事を確認できるWindows Vistaガジェットも提供される。
もちろん、MSN産経ニュース自体のコンテンツも強化されている。ユーザー内で関心度の高いニュースを取り上げた「トピックス」を新設し、既存のジャンルにとらわれない200以上の事件や話題などを扱う。トピックスページには、関連記事や図、外部リンクに加え、動画や利用者アンケート、用語解説などが掲載される。
新聞社サイトでは1〜3カ月が平均とされる記事掲載期間が6カ月となった。また一部の記事写真を1024×768ピクセルの壁紙サイズで掲載するほか、音声データや動画などのリッチコンテンツや紙媒体に先駆けた特集記事の配信も行う。
「インターネットを使って、21世紀にふさわしい瓦版に戻ろう」(住田氏)という言葉から、提携を機にインターネット時代における言論・報道機関の役割を考え直す意気込みとともに、インターネットと紙媒体の融合を一段と加速させる意向がうかがえる。
産経デジタルの阿部雅美代表取締役社長は、「9月25日は、福田内閣の組閣と同時に、新たなネット報道を開始したメディアの誕生として記録されたい」と締めくくった。
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