地球を“蝕む”コンピュータ――グリーンITの必要性とは:「環境にやさしく」できますか?(2/2 ページ)
企業に環境保護への取り組みが求められる現在、ITにとっても環境問題は他人事とは言えないものとなっている。本企画では「グリーンIT」をキーワードに、国内外の現状を俯瞰(ふかん)する。
業界&各国で進むグリーンITへの取り組み
そのような状況から、2007年2月にデータセンターの電力コスト削減を目指す世界規模の非営利コンソーシアム「グリーン・グリッド・コンソーシアム」が動き出した。AMD、デル、HP、IBM、インテル、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、VMwareなどがボードメンバーとなり、データセンターにおける問題箇所のリアルタイムな調査・分析、新技術の精査・研究、ベストプラクティスのためのフレームワーク作りやメトリクス(指標)の定義、テクノロジーロードマップの提供などの活動を行う。
2007年10月に日本で開催された「グリーンITシンポジウム」(主催:日本AMD)で、グリーン・グリッド・コンソーシアムのディレクターのドン・ティルトン氏は、「これまで、データセンターのエネルギー効率化プロセスを測る基準がほとんどなく、あっても部分的や独自色の強いものばかりだった。将来のデータセンター設計・運用に向け、多くの企業や国際団体、政府などと協調して活動を進めていく」と語っている。
また、インテルとグーグルは2007年6月、温室効果ガス削減を目指したイニシアチブ「Climate Savers Computing Initiative」(CSCI)を発足。コンピュータ関連企業に加え、EPAやWWF(世界自然保護基金)も参加して、エネルギー効率の高い製品の投入へ向けた活動を推進していく。2010年までに全世界のコンピュータの電力効率を50%向上させ、1100万台分の自動車を削減するのに匹敵する温室効果ガスの削減を実現するのが目標だという。
さらに、IBMも「Project Big Green」構想を提起。高効率電源や冷却技術、フロア設計管理などでデータセンターのエネルギー効率を向上させるという。既に、夜間の安価な電力を使った氷蓄熱技術によって40%もエネルギー効率を向上させ、38のデータセンターを2カ所に統合することで、年間1億8000万ドルのコストを削減するという実績を上げている。
次回は、日本国内のグリーンITへの取り組みを探る。
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