ソニーが環境活動を説明、2010年までにCO2削減を5万トンに
各企業がこぞって二酸化炭素削減計画を発表する中、ソニーも環境活動について説明会を開催。グリーン電力証書システムや資源の再利用など、計画ではなく実際の取り組みを紹介した。
ソニーは12月4日環境活動の説明会を開催し、再生可能エネルギーおよび再生プラスチックの活用への取り組みを発表した。2010年度までに二酸化炭素排出削減量を5万トンに拡大するという。
再生可能エネルギー導入の取り組み
ソニーは、太陽光・熱・風力などの自然エネルギーや、動植物の排泄物などからメタンガスを取り出すバイオマスのように繰り返し使用できる再生可能エネルギーの導入に取り組んでおり、同エネルギーを購入する仕組み「グリーン電力証書システム」を利用している。
これは、再生可能エネルギーが電気それ自体のほかに、化石燃料削減などの省エネルギーや二酸化炭素の排出削減といった価値(環境付加価値)を持つとみなし、環境付加価値分を企業が支払うことで、自然エネルギーを使用したと考えるシステム。企業には、発電と環境負荷削減に貢献したとして、グリーン電力証書が発行される。
ソニーが契約したグリーン電力証書は2007年10月16日現在までに3640万キロワット時に上り、1万3760トンの二酸化炭素排出量を削減したことになる。これは、2002年度から再生可能エネルギーを導入している欧州ソニーグループのオフィスや工場の計9事業所で再生可能エネルギーを稼働していること、日本で新たに能代バイオマス発電所のグリーン電力証書と契約したことが要因という。
説明会の冒頭にはソニーの中鉢良治社長が登場。「工場やオフィス、製品、環境関連の研究開発、社会活動の4点から環境活動に着手し、グリーン電力提案や3R(Reduce:減らす、Reuse:再び使う、Recycle:再資源化)を掲げ、同時に太陽電池やバイオ電池といった研究開発への取り組みを強化する」と同社の環境活動を説明した
資源循環システムの構築
ソニーは資源の削減と環境負荷の軽減を目的とした「Earthプロジェクト」を2007年3月から始めている。これは、グループ内で排出された製品部品や梱包材、社外の廃材などの回収ルート構築や再資源化から、植物原料プラスチックなどの素材、リユース材、リサイクル材などの循環材として活用するもの。
説明会では、再資源化した循環材を2008年モデルの液晶テレビ「BRAVIA」に再利用する例が紹介された。家電リサイクルから回収した廃プラスチックを高品質のプラスチックとして再生して使用する。再生ポリスチレン材料を使うことで、新材より30〜40%の二酸化炭素を削減できる。国内製品の10%に再生ポリエチレンを採用し、10%のコスト削減を見込むという。
テレビに使用されるプラスチック部分の主原料であるポリスチレンは、回収時の異物除去や難燃性・耐衝撃性の確保が難しく、家電業界では再利用されていなかった。ソニーは、1990年代からテレビ製品について、難燃性や素材の統一などに取り組んでおり、それが大きく貢献しているという。
ソニーでは、1990年代から再生プラスチックを使用している。2006年度の再生プラスチック(主に再生ポリスチレン)使用量は1万6000トンとなり、二酸化炭素にして1万8000トンの排出削減につながった。今後は2010年までに再生ポリスチレンの使用量を2006年後の約2倍にする見込みだ。
関連記事
- 地球を“蝕む”コンピュータ――グリーンITの必要性とは
企業に環境保護への取り組みが求められる現在、ITにとっても環境問題は他人事とは言えないものとなっている。本企画では「グリーンIT」をキーワードに、国内外の現状を俯瞰(ふかん)する。 - 日本IBM、DCの消費電力とCO2削減を本格始動
消費電力や二酸化炭素の削減を目指すIBMの「Project Big Green」が本格始動する。主要な問題として挙がるデータセンターの消費電力を管理するソフトウェアの最新版も発表された。 - 「IT、で、エコ」のNEC、5年で91万トンのCO2削減計画
2012年までにIT機器のCO2排出量を累計91万トン削減する計画をNECが策定した。各ベンダーがCO2削減に本腰を入れる中、これまで取り組んできた同社の環境経営をより具体化させた。 - 省電力化に本腰の日立、5年で33万トンのCO2削減プラン
日立製作所は、省電力化技術と製品の開発を強化し、今後5年間で33万トンの二酸化炭素削減を目指す「Harmonious Green」プランを策定した。同プランを推進するサーバおよびストレージ製品も発表された。 - チェルノブイリに住む生物が静かに指し示すもう1つの進化
史上最悪の放射能汚染となったチェルノブイリ周辺に住む生物の多くが、DNAレベルで見ると、猛烈なスピードで進化のはや回しを経験している。その行き着く先には何があるのか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.