今後のSaaS、中小企業をどう巻き込むかが論点:2008年予測(2/2 ページ)
郵政公社やメガバンクなどが相次いで採用し、2007年に脚光を浴びたSaaS。これまでの動向と今後の展望はどうなるのか。IDC Japanの赤城氏に聞いた。
SaaS進展は中小企業が握る
2008年はSaaSが国内でさらに浸透すると赤城氏は予測する。そしてSaaSの課題に「価格付け」を挙げた。
SaaSはロングテールビジネスを目指すもので、大企業だけでなく中堅・中小企業にサービスをどれだけ提供できるかが鍵になる。SaaSの単価は安価だが、初期費用などを含めた導入コストは数百万円規模になる。予算にゆとりのない中堅・中小企業がコストをかけるだけのサービスを展開できるか、そしてそれらがSaaSを受け入れるだけの価格をベンダー側が設定ができるかが2008年におけるSaaS普及のポイントとなる。
システムインテグレーターがSaaSで利益をあげることができるかも課題の1つという。「パッケージモデル以外のビジネスモデルを構築できるシステムインテグレーターは成功するが、脱却できないならSaaSビジネスで後れを取る」(赤城氏)
システムインテグレーターは、中小企業にSaaSを展開するために直販だけでなく、Webを用いた間接販売などを積極的に実施する必要があるという。また「マイクロソフトやYahoo!、Googleといった今まで直接パートナー契約をしてこなかったキャリアと提携して勝ち組のエコシステムを作る動きも出てくるのではないか」と赤城氏は予測する。
中堅・中小企業においてSaaSの認知度はまだ低い。また既存のSaaSサービスがこれらの企業に合致するとは言い難く、海外発の中小企業向けSaaSも国内企業の事情にマッチしていない。2008年はSaaSが中小企業にも“使える”サービスであることを追求していく必要がある。
「中堅・中小企業向けにマッチするパッケージが出てくれば、今年のセールスフォースのようにSaaS市場を揺るがす動きが来年も起こる」(赤城氏)
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