グリーンITは利益拡大やイメージアップの秘策に:2008年予測(2/2 ページ)
2007年は京都議定書の定める削減目標に各企業が取り組み、グリーンITという言葉が注目を集めた。環境への取り組みが利益にならないとされることが多い中、グリーンITは企業に利益をもたらすコンセプトとして、今後さらに普及するという。
企業はイメージアップに環境を選ぶ
2008年の動向はどうなるのか。欧米ではグリーンIT製品を選ぶユーザー企業が増えるなど実装段階がより進み、国内では消費電力削減の必要に迫られている企業以外において製品導入は進まないと鈴木氏は分析する。
だがグリーンITのコンセプトはこれまで以上に広がるのでは、と鈴木氏は話す。企業の不祥事が相次いだ国内では、ユーザーが企業の動向に今まで以上に関心を寄せている。「よりよいコーポレートイメージをユーザーにアピールする手立てとして環境活動に取り組む企業は増える」(同氏)。
実際、環境対策は企業規模を問わず進んでいる。再生可能エネルギーの発電コストの割高な分を企業が負担し、負担分を企業が再生可能エネルギーを導入したとみなす「グリーン電力証書システム」に加入している企業が必ずしも大手とは限らないというように、「環境に配慮する企業という“健全性”を示すことが価値につながる時代となった」(鈴木氏)。
実は利益にもつながるグリーンIT
グリーンITが企業の利益に直結することも見逃せない。環境活動に取り組む企業とそうでない企業が同じ製品をリリースした場合、ユーザーは前者を選ぶ。「グリーンITをマーケティングに活用する企業が増える」と鈴木氏。
また外部環境会計や環境報告書などから企業をランク付けする「環境格付け」の評価で融資先を決める投資家が増えている。CSR(企業の社会的責任)の観点で環境活動に取り組むことは、投資家の関心を引きつけるという。
「京都議定書が定める温室効果ガスの削減対象では目標に届かない。中小企業も削減が必要になる。各企業が協力する動きも出てくる」(鈴木氏)。2008年は、グリーンITがこれまで以上に企業を動かすことになりそうだ。
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