とがったSaaSでは受け入れられなかった――フィードパス
SaaS型のWebメールサービスを展開するフィードパスが販売戦略を変える。「とがったSaaSでは受け入れられなかった」という過去の経験を踏まえた戦略からは、SaaSビジネスの実態が見て取れる。
インターネット白書2007によると、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)の認知度は「名前を聞いたことがある」というレベルを含めると33%。企業の3分の2がSaaSを知らないのが実態だ。
SaaSビジネスを展開するベンダーはこの現状をどのようにとらえているのだろうか。
フィードパスは、企業向けのSaaS型Webメールサービス「feedpath Zebra」の販売を強化する。メール機能に特化した廉価版「Zebra White」と高機能版「Zebra Black」に分けていた料金プランを1つにまとめ、「基本プラン」として3月1日から提供する。
なぜ販売戦略を変えたのか。事業推進本部副本部長の葛山哲司事業企画グループマネジャーは「過去のSaaSビジネスで得た反省を生かした」と話す。SaaSとして改良を重ねるfeedpath Zebra、その販売戦略の刷新から、SaaSビジネスの実態が垣間見える。
“とがったSaaS”では伝わらない
feedpath Zebraを発売した2007年4月、SaaSが盛り上がり始めていた。フィードパスは顧客への啓蒙を狙い、SaaSを前面に打ち出した販促活動を実施した。「とがったサービスを見せたい」と考え、サービス名に「white」「black」といったポップな名称を付けた。
発売してから数カ月が経ち、100ユーザー以上の案件を中心としてサービスの受注が続いた。だが、サービスを打ち出す時にメインターゲットと想定していた20〜50ユーザーのクライアントからの引き合いは少なかった。
SaaSという言葉に反応するのは比較的大きな規模の企業だった。100ユーザー以上の規模を誇る企業は情報システム部門などを持ち、情報収集を欠かさない。当然SaaSへの理解も深かった。
一方、100ユーザー未満の企業の多くは、人手不足などの理由で企業内のシステム管理に手が回っておらず、SaaSを知らないことも少なくなかった。BlackやWhiteといったサービスの意図はほとんど伝わらなかった。
「顧客とのやり取りを通じて、SaaSを前面に出した販売戦略はフィードパスがメインターゲットと考える中小企業への訴求ポイントとずれていた」――葛山氏は振り返った。
管理を丸投げにしてほしい
今回の刷新は、ユーザーにサービスを分かりやすく提供するという原点に立ち返った。ニーズがまったく異なる中小企業向けに、オプションやサービスを自由に組み替えられるようにした。サービス申し込み用の専用Webサイトを開設し、自動見積もりにも対応した。
オプション機能の拡充や、10名以下の企業も利用できる「スタートアップ応援パック」も追加する。企業のニーズに応じたサービスを組み合わせたパッケージ製品も提供していく。「分かりやすさを前面に出す」(葛山氏)という考え方に沿って、サービス内容が伝わりやすいよう名称にもこだわった。SaaSになじみがない企業にまで導入のすそ野を広げることを狙う。
「気がつけばSaaSを利用していたというサービスを目指し、導入する企業は管理を丸投げにしてもらうのが理想」(葛山氏)
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