違法コピーの内部告発が増加、従業員に正義感
ビジネス ソフトウェア アライアンスは活動方針の説明会を開催。ソフトウェアの違法コピーや組織内の情報提供、オークションサイトの違法への取り組みなどを発表した。
ビジネスソフトウェア権利保護の非営利団体であるビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は1月30日、ソフトウェアの違法コピーの実態を発表した。ソフトウェア資産管理(SAM)やオークションでの違法対策の取り組みも公開した。
BSAは権利保護支援活動として、ビジネスソフトウェアの違法コピー情報を調査している。調査によると、2007年の組織内違法コピーの情報提供数は506件で、前年より34%増えた。情報提供が多い業界はソフトウェア関連、広告・出版関連、土木・建築関連で全体の3割を占めた。日本担当顧問の石原修氏は「企業や経営者以上に従業員にコンプライアンスが浸透した。(従業員の)正義感も影響している」と内部告発の増加要因を挙げた。
違法コピー率は低下傾向にある。2006年の日本の違法コピー率は2005年より3%減の25%となった。違法コピーの減少はコンプライアンスやSAMに対する企業の関心の高まりが原因という。違法コピーの損害額は約2140億円と前年に比べて340億円増えた。
オークションサイトの違法品被害防止活動も行っている。2007年はオークションサイトで違法出品の手口が巧妙化したという。竹下千恵日本担当事務局長は「正規の製品と区別のつかない不正品画像を掲載したり、廉価版の情報を掲載して不正サイトへ誘導する手口が増えた」と分析した。違法防止を販売側に働きかけてきたBSAは、今後オークションサイトの傾向や出品方法などを伝えるWebコンテンツを提供して、消費者側の啓発に取り組む考えだ。
IT統制でソフトウェア管理が必要に
「2007年はJ-SOX法に関連した内部統制がトピックだったが、IT統制という視点でビジネスソフトウェアの管理ニーズが高まっている」と日本担当副事務局長の松尾早苗氏は言う。SAMのセミナーに参加する企業や大学が増え、「定性的に見てSAMの注目度が上がった」(松尾氏)。SAMの実施を希望するも、何から始めればいいか分からないという組織が多かった。
「PC内に入っているソフトウェアを答えることができない管理担当者が多く、ライセンス管理になるとお手上げの状態」(石原氏)というのが組織のソフトウェア管理の現状だ。BSAはSAMの普及を目指し、ソフトウェア管理のコンテンツの提供やSAM実施のモデルケース数を増やしていくという。
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