「ダメプロジェクト」の改善で50億円のコスト削減 NECがSI事業を強化
NECがソリューション事業の強化を発表した。部分最適にとどまっていた事業戦略をあらため、各部門が一体で事業に取り組むという。
NECは2月6日、ソリューション事業に顧客視点を取り入れた「SI革新活動」の概要を発表した。システムの企画、開発、運用を体系化して提供し、システムインテグレーション(SI)事業の営業利益率を1%増加させることを目指す。
SI革新活動では営業プロセスの改革を進める。要件定義や業務設計、業務戦略の提案ができる要員を3年間で160名配属し、ワークフローの改善を目指す。30代半ばから40代前後の人材をそろえる。現時点で27名の配属が決まっている。
プロジェクト管理も徹底する。要求仕様や外部設計において顧客と確実に合意を取り、役割分担を明確にする。2005年度に約100億円あったロスコストを2006年度には50億円に減らした。「駄目プロジェクトを減らす」(取締役執行役員専務の相澤正俊氏)という。
システム構築では、システムの部品や仕様書、手順書を再利用することで、50%以上の工期短縮を見込む。システム構築の効率化を目指し、新たに30種類のシステム構築モデルを用意した。SOA(サービス指向アーキテクチャ)やSaaS(サービスとしてのソフトウェア)モデルも整備している。
あらためてSI事業の強化に乗り出すのは、「IT投資と経営目標の整合性がとれていなかった」(同社広報部)から。システム技術統括本部本部長の辻孝夫氏は「30年以上のSI事業において、問題を1つずつ改善することにとどまっていた」と振り返る。営業、企画、システム構築などを含めた体系的な戦略を進め、全社でKPI(業績評価指標)を設定する。約100社の重点パートナーと開発の効率化も進めるなど、全体最適を追求する。
「自戒を込めて、内なる改革ではなく顧客視点を追求する」(相澤氏)
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