Microsoftユーザーに手を差し伸べるIBM Lotus(2/2 ページ)
「Notes vs. Exchange」の戦いはもはや過去のものだ。企業は、イノベーションのために、組織の枠を越えたコラボレーションを求めている。
より多くの人たちとつながり、企業や組織の境界を越えて知識やノウハウを共有できるソーシャルコンピューティングの進化も目覚ましい。新たな市場を確立しつつあり、「コミュニティー中心」のワークスタイルを後押しするものだ。
IBMは2007年初め、企業向けに統合された初めてのソーシャルソフトウェアスイート「Lotus Connections」と、チームコラボレーションのための新しいツール「Lotus Quickr」を発表したが、どちらもNotes/Dominoを必ずしも前提とはしていない。それどころかQuickrは、Microsoft Officeスイートに対応しており、高価なSharePoint Serverを導入しなくとも、企業内、あるいはその境界を越えて簡単にOffice文書を公開、共有できる点を売り物にしている。
Microsoft Officeはタイプライターの進化版
OpenOffice.orgをベースとするLotus Symphonyの狙いはさらに明確だ。
キャバナー氏は、「MicrosoftはプロプライエタリなOfficeスイートに顧客を囲い込み、利益の40%を稼ぎ出している。これが顧客の課題となっている」と話す。
Symphonyは、単なるMicrosoft Officeのオープンなオルタナティブにとどまらず、Eclipseベースのコンポジット環境で利用できる部品としての側面もある。
「Eclipse、OpenOffice.orgのコミュニティーやODF(OpenDocument Format)のシナジーを生かせば、Microsoftの独占的で高価なビジネスモデルを崩せるはずだ」とキャバナー氏。
デュモン氏も「企業はタイプライターの進化版に多くの予算を費やしている」と手厳しい。「オープンなパラダイムが取って代わる時であり、節約できた予算をモダンなコラボレイティブ環境の構築に振り向けることができる」とデュモン氏。
IBMは世界のCEOを対象にした調査を定期的に実施しているが、直近のデータによれば、765人のCEOのうち、750人がコラボレーションを検討課題の筆頭に挙げた。社員が広範な地域に分散しているのはもちろんのこと、イノベーションを加速するためには企業や組織の境界を越えたコラボレーションが課題となっているのだ。
「顧客やビジネスパートナーこそ、イノベーションの源泉だ」とデュモン氏は話す。
「単なるサーチ(検索)とは異なり、ソーシャルコンピューティングは価値ある知識のディスカバリー(発見)を支援してくれる。Microsoftは無償の検索サービスであるYahoo!を獲得すべく、何百万ドルも投じようとしている。彼らはサーチで後ろを振り返ろうとしているが、われわれは前を向いている」(デュモン氏)
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