2D/3Dソフトウェア大手のオートデスクは3月5日、プレスなどに向けて事業戦略説明会を開いた。鬼澤盛夫社長は、1年前に掲げた「販売チャネルの革新」という目標に対して一定の成果を上げたことを報告した。2008年度も引き続き、パートナーとの協業を強化するとともに、日本市場に特化した製品を発売することも明かした。
現在同社は、3D製品の販売チャネルとして、量販店などでパッケージソフトを大量に販売する「VAD(Value Added Distributer)」と、コンサルティングや技術サポートなどの付加価値を提供する「VAR(Value Added Reseller)」の2種類を用意する(下図参照)。チャネル改革の遅れにより、日本は他国と比べ3D製品の販売力が低いことを懸念していた鬼澤氏は、「この1年で多くの時間と資金を使い、チャネル戦略を大幅に見直した」と強調した。
「IT産業で成功しているどの企業をみても、チャネル戦略は実に重要だ。最近はIBMやCisco Systemsでもチャネルの構造を見直している」(鬼澤氏)
また、地方のパートナーとの連携も強化し、25カ所の地域でセミナーを開催した。鬼澤氏は「これが昨年成功を収めた一因である」と意気込んだ。
今年度は社内体制を整備する。鬼澤氏は「エンドユーザーに直接販売していたパートナーの営業サポートとして、当社の戦略やビジョンを語れる社員を増強、配置する」と説明した。オートデスクは間接販売に頼っているため、現在同社が積極的に推進する「サステナビリティ」や、設計フローの効率化を図る「BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)」などの戦略をパートナーが十分に顧客に伝えられないという問題がある。一方で、エンドユーザーの声を直接聞けないのも懸念だった。
また、今夏をめどに日本独自の製品をリリースすると発表した。「当社の製品は世界64カ国でローカライズされている。しかし設計分野では、単に日本版としただけでは認められず、国が定めるフォーマットに準拠しなくてはならないものもある」(鬼澤氏)という。新製品の具体的な概要などについては明言を避けた。
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