象が踏んだら壊れちゃう――わたしとLANケーブル:悲しき女子ヘルプデスク物語(2/2 ページ)
自分の扱いが粗末なのが原因でトラブルになっているのに、皆がわたしにクレームやら八つ当たりやらをぶつけてくる。IT機器もわたしも大切にして!
LANケーブルの無残な姿
なんと、A子の椅子が、LANケーブルをしっかり踏んづけているのである。
「ケーブル! ケーブル踏んでるよっ!」とあわててA子に言う。A子は「あ、ごめーん」と言いながらも悪びれる様子はなく、椅子を引く。おいおい、椅子を浮かして動かしてくれー。でないとLANケーブルがひき殺されるー。
いや、すでにひき殺されていた。A子のPCのタスクトレイには、ネットワークが接続されていないという警告アイコンがしっかり表示されていたのだ。原因はLANケーブルの断線だろう。
椅子の下(というか机の下)には、LANケーブルや電源ケーブルなどが散乱している。待てよ、いくらなんでもこんな雑な作業をした覚えはないぞ。と、ここではっと気が付いた。部署の机の配置が微妙に違う。普段からのほほ〜ん、としているからか、めったに来ないこの部署の机の位置に気を使っていなかったのか、信じられないことに今まで模様替えに気が付かなかったのだ。
私 「ねぇ、模様替えした?」
A子 「うん。ちょっとだけね。コピー機が新しくなったんだけど、前のより微妙に大きくて、少し配置を換えたの。」
そのときケーブルの引き回しに手こずったらしく、余分な長さのケーブル類が机の下でスパゲッティ状態になっていたというわけだ。せめて束ねてワイヤーモールで縛るとかなんとか、もうちょっと整理整頓できないか?(私も人のことは言えないが)
私 「もしかして、模様替えしてから毎日ずっとLANケーブルを椅子に巻き込んでいる?」
A子 「そうなの、時々ね。もう、このケーブル邪魔。何とかしてほしいわぁ。」
すぐに別のLANケーブルを接続したところ、無事にネットワークに接続できた。大事にならなくてよかったものの、部署の中をよく見てみれば、余分な長さのLANケーブルがいやに目に付く。どうやら踏まれているケーブルが他にもありそうだ。何とかしておいたほうが無難だろう。
私 「午後から部署内のケーブルを整理するね。」
A子 「ありがとぉ! 助かるわぁ。」
感謝されてしまった。が、ごめん。あなたのためじゃない。ネットワークのため、いや、私のためなの……。
粗雑に扱わないで
昔、「象が踏んでも壊れない筆入れ」というのがあったなぁ(年齢がばれるか?)。「象が踏んでも切れないLANケーブル」もあればいいのに。まあ、そんなLANケーブルが手に入ればこんな苦労はしなくてすむのだけれど。
社内ネットワークを構築しているのは、サーバやルータだけではない。LANケーブルだって立派な立役者だ。たとえ椅子に巻き込まれようが、人に踏まれようが、彼らはPCをネットワークに繋げるためだけに働いてくれている。なのに、多くの人は粗雑に、乱暴に扱う。彼らは表に出ることを好んではいない、はずだ。床下、机の影、PCの後ろでひっそりと活躍することを願っているにちがいない。とても照れ屋でデリケートなのだ。そう、わたしと同じで、大事に扱ってもらうことを切に願っているのだ、きっと……
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