彼女とわたし――伝わらない想い:悲しき女子ヘルプデスク物語(3/3 ページ)
ユーザーが発するIT用語が正しい意味で使われているとは限らない。往々にして伝えたい思いがすれ違ってしまうのだ。難しいものですね。
IT用語、分からないのがフツーかも
LANケーブルが外れたのか? ネットワークのトラブルか? しかし、ネットワークに異常はない。A美のPCから、プリンタはちゃんと「見えて」いる。彼女のすがるような視線を横に、もう一度彼女の目の前にあるPCを操作する。
プリントスプールには、先ほどわたしが印刷操作を行ったジョブが1つだけある。おかしいなあ。ジョブを削除して、再度チャレンジ。でも、だめ。複合機はウンともスンとも言わない。
ここで、ほとんど偶然に、「プリンタとFAX」ウィンドウが目に入った。プリンタ名の横に「オフライン」と表示されているではないか。
え? オフライン?
驚いたわたしは、プリンタウィンドウの「プリンタ」メニューをクリックしてみる。案の定「プリンタをオフラインで使用する」にチェックが入っていた。何かの拍子にオフラインに切り替わったのだろう。プリント出力に失敗したときに時々見かける現象だけど、実はわたしはなぜこのようになるのか、よく分かっていない。対処療法として、オンラインに切り替えるためにメニューをクリックしチェックを外す。ようやく無事に印刷ができた。ふー。
A美は印刷ができてホッとした様子。しかし、もしこの「コピーができない」という内容を電話で受けていたら、スムーズにヘルプできただろうか? 社内で利用する言葉を統一しないとそのうち大きなトラブルを招くかもしれないと考えるわたし。でも、言うは易し、行うは難しなんだろうな。
そういえば、以前「メールが送れないんだけど」という内容のヘルプコールがあった。わたしの勤務先では、ほとんどのユーザーがMicrosoft Outlookを使っている。しかし一部の社員はOWA(Outlook Web Access)を使っているし、さらにごく一部の社員は業務上の理由で、いわゆる「Webメール」を使っている。メールソフトを確認するために「OutLookですね?」と確認したところ、「違うよ、メールだよ」と返されたことがあった。これにはさすがに驚いた。同義語として認識されている「印刷とコピー」とは逆に、同じものとは思われていない「メールとOutLook」。皮肉なものですね。
同様のことは、Outlook ExpressとOutlookでも起きる。Windows Vistaにいたっては、「Windowsメール」ですよ。マイクロソフトさん、どうか初心者にも区別しやすく、命名してくれませんか?
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