VPN経由でSalesforceが利用可能に、NGNでのサービスも視野:セールスフォースとNTT Comが提供
VPNを経由してSalesforceが利用できるサービスを、セールスフォースとNTT Comが7月1日に提供する。
セールスフォース・ドットコムとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は5月26日、VPN(Virtual Private Network)上でSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型アプリケーションが利用できるサービスの提供を7月1日に開始すると発表した。
共同で提供するサービスの名称は「Salesforce over VPN powered by NTT Communications」(Salesforce over VPN)という。セールスフォース・ドットコムのSaaS型アプリケーション「Salesforce」をNTT Comが提供するあらゆるVPNサービスで利用できるようにするもの。社内ポリシーやセキュリティの面からインターネット経由でSalesforceを利用できなかった企業も使えるようになるのが特徴。
「日本国内でVPN普及率は約70%。グローバルに展開するSalesforceをVPN経由で安全に使ってもらえるようになる」とNTTコミュニケーションズの野村雅行副社長は新サービスに自信を見せる。
Salesforce over VPNには、企業レベルのカスタマイズやセキュリティ制御などの機能を備え、営業、サポート、マーケティングなどを管理できるCRM機能を提供する「Professional VPN Edition」と、これらの機能に複数部門への導入や他システムとの統合、ワークフローを用いたビジネスプロセス管理などを加えた「Enterprise Edition」のサービスがある。アクセス回線からライセンスまで一括で提供する。同サービスを提供するネットワークはNTT Comが常時監視しており、トラブル時やユーザーからの問い合わせに対応する。
価格は初期費用が1ユーザー当たり2万1000円。月額料金はProfessional VPN Editionが1ID当たり8925円、Enterprise VPN Editionが1ID当たり1万6800円となる。カスタマイズやVPN構築の費用などは別途必要。「Salesforceの新規ユーザーの50%以上を顧客として獲得したい」(野村氏)という。
今後は、提案書や見積書といったデータを、Salesforceのデータベースとシングルサインオンで連携できるサービスを年度内に提供したり、NTTドコモの携帯電話からSalesforce over VPNにアクセスできるサービスを展開したりする予定という。また、次世代ネットワーク(NGN)上でSaaSを展開するサービス「Salesforce over NGN(仮)」を進めるため、NTTの認証連携技術などを活用していくとしている。
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