いったん振り返る、ERPってなに?:中堅中小企業の経営基盤改革術(2/3 ページ)
中堅中小企業を支えるソフトウェアとしてERPの導入が進んでいるが、ERPとはもともとどんなものなのか。血液のように企業の各部門にデータをスムーズに流す仕組みを改めて考えてみる。
在庫管理が販売管理、生産管理、購買管理にまたがっているが、これは適用業種やベンダーによって在庫管理がどのような意味合いでどのモジュールに含まれるかが異なることを示している。仕入れ在庫の管理が重要であれば、購買管理の範囲となる。製造在庫の管理は生産管理の枠内で行われる。受注情報と密に結びついた出庫管理が必要であれば、販売管理側に含めることになるだろう。
このように在庫管理という言葉は同じでも、在庫の内容やそれがどのモジュール内に含まれるかといったことが変わってくるので注意する必要がある。債権・債務処理も同様であり、債権処理を販売管理内に含めることもあれば、債務管理を購買管理内に含めることもある。
若干の差異はあるものの、上図のうちのどのモジュールを備え、どういった追加モジュールを持っているかをチェックすれば、おおむねどのERPパッケージもこの標準モデルに当てはめて考えることができる。
代表的なERPパッケージ
実際のERPプロダクトを標準モデルに当てはめてみよう。ここでは「中小」(年商5〜50億)や「中堅L」(年商50〜100億)を主な対象とする3つの代表的なERPパッケージを取り上げてみた。
OSKの「SMILE BS」は「SMILE BS販売」「SMILE BS会計」「SMILE BS人事給与」という3つのモジュールを持っている。「SMILE BS販売」の名称は「販売」となっているが、実際には販売管理と購買管理の両方の機能を持っている。
このように「販売管理」の中に「購買管理」も含めるベンダーも少なくないので留意する必要がある。OBCの「奉行新ERP」は構成モジュールの数が比較的多く、特に人事・給与が細かく細分されている。顧客管理や資産管理などの追加モジュールも用意されている。
SAPの「SAP Business One」は明確にモジュールという区分けをしていないが、販売管理/購買管理/財務会計を基幹業務としてグループ化し、生産管理のほかに顧客管理の機能を追加している。
OSKやOBCといった国内ベンダーとSAPといった海外ベンダーとでは備えるモジュールに違いがある。財務会計、販売管理、購買管理はどちらも備えているが、国内ベンダーでは生産管理がなく人事、給与が備わっているケースが多く、海外ベンダーではその逆で生産管理はあるが人事給与がないことがある。
これは今回の2つ目のテーマであるERP導入の流れと密接に関係している。実はユーザーはERPの各モジュールを一斉に導入するわけではなく、ある程度のステップを踏んで順に導入していく傾向があるのだが、その導入ステップを分析してみると興味深いことが分かる。
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