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いったん振り返る、ERPってなに?中堅中小企業の経営基盤改革術(3/3 ページ)

中堅中小企業を支えるソフトウェアとしてERPの導入が進んでいるが、ERPとはもともとどんなものなのか。血液のように企業の各部門にデータをスムーズに流す仕組みを改めて考えてみる。

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 前回解説したように、日本国内のERP導入はオフコンなどのレガシーリプレースに端を発している。財務会計部分の多くはオフコンベースの独自開発システムであるため、まずはこの部分がERP導入の対象として着手されるのが一般的である。その後に続くのが、会計処理のインプット/アウトプットに相当する販売管理と購買管理である。

 さらなる業務効率向上を目指し、ユーザーごとのカスタマイズが少なく効果も得られやすい人事・給与にERPパッケージを適用するといった流れでERP導入が進むケースが多い。一方、生産管理は業種やユーザーごとのカスタマイズが多く、パッケージの適用がほかのモジュールに比べて難しい。そのため現時点でも財務会計、販売管理、購買管理、人事給与と比べて導入比率がやや低く、依然として独自開発システムが稼働しているケースが少なくない部分である。

 このようなERPの漸次的導入は異なるベンダーのERPプロダクトが混在する状況を招きやすくなる。そのことがERPを導入していながらもマスターデータが複数のモジュールで重複してしまうという問題を生み出す一因にもなってしまった。

 一方、海外では全体最適の視点からERPをビッグバン導入する場合が多かったため、製造業向けなどでは当然ながら生産管理モジュールを備える製品が用意されている。海外ベンダーはビッグバンのアプローチが多いため、マスターデータの重複は起こりにくい。だが、既に財務会計部分で高い導入率を占める国産ベンダーのERPをリプレースするという決断を、ユーザーにさせるだけのチャネル訴求力は持っていないといえる。

 こうした理由から、日本においては財務会計を始点とするERPの漸次的導入、その間における異種ベンダー混在、混在の結果もたらされるマスターデータの重複という課題を抱えることとなった。このようにレガシーリプレースに端を発した日本のERP導入の歴史はERPパッケージの導入状況や国内外のERPパッケージの性格の違いにも大きな影響を与えているのである。

 ERPの定義やERPの標準モデルを理解し、日本におけるERP導入の流れの特徴も確認できたところで、次回はERP導入の成功/失敗のパターンについて分析していくことにする。

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