グリーンITに取り組まないリスク:洞爺湖サミット迫る(3/3 ページ)
地球温暖化問題を扱う北海道洞爺湖サミットが7月7日から開催されることもあり「グリーンIT」に大きな注目が集まっている。グリーンITは単に企業のCSRやイメージ向上のためだけでなく、企業がITを活用する際の必須事項になってきている。
抜本策はハードウェア投資
こうした比較的低コストの省電力対策に加えて、より抜本的な対策を実施する際にはハードウェア面での投資が必要になる。サーバ側についてはブレードと仮想化を活用したサーバ統合、クライアント側についてはシンクライアントを活用した軽量化が代表例である。
しかし、何も考えずに新しいハードウェアを導入するのは禁物である。ブレードによってサーバを統合すれば総消費電力は確かに低下するが、一方で熱の発生源が局所化することによって既存のサーバルーム内の空調設備では対応できなかったり、1ラック当りの重量が増加することで、床の重量負荷が耐えられなかったりといったリスクも出てくる。シンクライアントについても、現在自社で利用しているアプリケーションが採用を検討しているシンクライアント環境でストレスなく動作するかを検証しておく必要がある。昨今では各ベンダーから検証サービスが提供されているので、それを活用するといいだろう。
省電力対策という理由のみでブレードやシンクライアントを導入するケースはまれである。ブレードであればサーバ統合によるサーバ運用管理工数軽減やサーバリソースの有効活用、シンクライアントであればクライアント管理工数軽減や情報漏えい対策などが念頭にあるはずだ。このように省電力対策はIT投資における他の事由と絡めて進められることが多い。その際もまず自社の現状分析をしっかりと行うことが重要である。
セキュリティ強化と利便性がトレードオフの関係にあるように、1つのポイントだけに固執してしまうと、全体のバランスが崩れてしまいやすいので注意が必要である。以上、省電力対策のポイントをまとめると下記のようになる。
- まずコストを掛けずに行える対策がないかを検討してみる
- コストを掛けた対策実施に際してはほかの施策との兼ね合いを十分考慮に入れる
- いきなり投資をせず、現状分析を入念に行う
今回は省電力対策としてのグリーンITが必要である理由、そしてその対策実施に際してのポイントについて述べた。次回は話をいったん地球温暖化全体に移す。「COP3」「カーボンオフセット」といった政治面でのキーワードから、「CRAC」「フリークーリング」といった技術用語までを豆知識的に網羅していく。今後グリーンIT関連の情報収集をする際に役立つ用語集となれば幸いである。
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