NEC、2万人の従業員に在宅勤務を許可:職場再考のススメ
NECは2万人弱の従業員に在宅勤務を認める制度を導入した。大手IT企業では、日本HPやNTTデータが在宅勤務を全社員に認めている。
育児休暇の取得や短時間勤務など、働き方の多様性が認められるようになってきた。職場改善の取り組みの一環として、大手IT企業では在宅勤務の導入が進んでいる。
NECは7月1日、2万人弱の従業員に在宅勤務を認める制度を導入したと発表した。時間を有効に活用することで生産性を上げ、育児や介護のために時間を確保する必要のある従業員に合わせた職場環境を提供することを狙いとする。
在宅勤務にはシンクライアントを利用する。遠隔操作で社内の情報にアクセスでき、情報の持ち出しを防げる。情報の持ち出しや自宅のプリンタでの資料印刷を禁止するなど、情報漏えいの防止を徹底する。社内との打ち合わせや連絡には、内線電話やWeb会議、Webカメラなどを活用する。在宅状況やスケジュールなどを会社にいる従業員と共有することも可能だ。
進ちょく管理には、Webカメラを使う。原則として、「就業前には在宅勤務の予定、就業後には在宅勤務の進ちょくと成果を上司に報告する」(NEC広報)
在宅勤務の取得は週1回まで。制度取得の対象者は、管理職や主任などの上司から事前に承諾を受ける必要がある。「職場の上司が承認すれば在宅勤務ができる。制度取得の基準は上司の裁量」(広報)という。
個人情報や顧客情報といった機密事項を扱う業務では在宅勤務を認めていない。「論文や資料の作成をするエンジニアや、外出の多い営業など」(広報)での取得が見込まれるという。
シンクライアントを利用することで、消費電力や二酸化炭素(CO2)の削減にも寄与するという。従来のPCに比べて年間消費電力を最大62%削減できる。シンクライアント端末1500台で構成する場合、年間最大56トンのCO2削減効果があるとしている。
今後は、PCを利用するすべての社外作業をシンクライアントシステムで実施する体制を目指す。
トライアルを約2年実施
在宅勤務の実施には、情報セキュリティ、コミュニケーション、勤務管理などが課題となる。同社は社員約2000人を対象に、在宅勤務の試験運用を2006年7月から2008年の6月に実施。シンクライアントを利用した情報セキュリティの確保、会社と同様の職場環境の構築が自宅でも実現できると判断し、全社導入に踏み切った。
トライアルでは、在宅勤務をした人の74%、実施者の上司の48%がオフィス勤務時と比べて「生産性が上がった」と答えた。仕事に「集中できる時間が増えた」(87%)、「通勤ストレスが減った」(70%)といった効果も得られたほか、トライアルを体験した人の98%が「引き続きテレワークを実施したい」と答えた。
大手IT企業では、2007年11月には日本HPが、2008年2月にはNTTデータが在宅勤務制度の導入を全社規模に拡大している。
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