地球温暖化問題をキーワードで理解しよう:洞爺湖サミット迫る(5/5 ページ)
今回はグリーンITに関連する必須用語を豆知識的として紹介する。用語を理解することで、グリーンITの全体像が見えてくる。
「PUE(Power Usage Effectiveness)」
データセンターの省電力化を推進するベンダー中立の非営利団体「Green Grid」が提唱する新しいデータセンター効率評価の指標。(Green Gridについては次回に詳しく取り上げる)以下の数式によって定義される。
PUE = データセンター全体の総消費電力/データセンター内で稼働するIT機器の総消費電力
データセンター内でIT機器を稼働させるためにはIT機器自体の電力消費以外に空調、湿度調整、電力供給、照明といった各設備の電力消費が生じる。この設備電力消費をどれだけ低く抑えることができているかという観点での効率性を計るものがPUEである。一般的なデータセンターのPUE値は2.3〜2.5であるといわれている。最新のデータセンターではPUE値1.8を達成した事例が登場してきている。
「DCiE(DataCenter infrastructure Efficiency)」
PUEとは反対に、データセンター内に設置されたIT機器の効率性を計るための指標である。同じ電力消費量を示す二つのIT機器を比較した場合、データセンター設備の消費電力量は少ないほうがより効率的である。従って、DCiEは以下の数式で定義される
DCiE = データセンター内で稼働するIT機器の総消費電力/データセンター全体の総消費電力 = 1/PUE
PUEやDCiEを測定する際、IT機器(特にサーバ)の消費電力をいかに公平に測定するかが課題となってくる。同じスペックを持ったサーバであっても、稼働させるアプリケーション特性によって消費電力も大きく変わってくるからである。現時点ではその課題に対する明確な答えは出されていないが、今後はCPU性能評価における「SPECベンチマーク」のような指標が登場するものと予想される。
「フリークーリング」
冷却装置に使われる冷却水が外気を使って自然冷却させられる手法。冷却のためのエネルギー消費を大幅に削減できるために注目されている。ただし、設置場所に関する地理的条件がある程度限定される点や冷却効率が外気温の変化に左右される点が課題となっている。当面は従来の冷却装置との併用によって、部分的にエネルギー消費を削減するための手段として用いられると予想される。
今回は地球温暖化問題やデータセンターにおける省電力化に関連した重要キーワードを一通り解説した。今後、グリーンIT関連記事を読まれる際の参考になれば幸いである。最終回である次回はもう一度原点に立ち返って、「グリーンIT」のそもそもの定義や各ベンダーや団体の活動にスポットを当てていく。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 洞爺湖サミット迫る:グリーンITに取り組まないリスク
- <オルタナティブ・ブログ>ソフトウェアで消費電力を抑えることが競争力強化に(森崎修司のどうやってはかるの? )
- 環境と収支は両立する:グリーンITはコスト削減にもつながる――SVLGが報告
- モバイルユースだけじゃない:Atomが活躍――インテルのグリーン戦略
- <オルタナティブ・ブログ>ペーパーレスはグリーンIT違反? (IT業界来し方行く末)
- <オルタナティブ・ブログ>2008年はグリーンITで行きます(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)
- <オルタナティブ・ブログ>グリーンITと事業継続を同時に考える一石二鳥セミナー(ベンチャービジネス千里眼)