7月7日、三菱東京UFJで大一番――システムの本格統合開始:テストは大詰め(2/2 ページ)
三菱東京UFJ銀行の大規模なシステム統合の第2弾が7月7日から始まる。旧UFJ銀行のデータを新システムに順次移行する。麻布、浜松町など全国の9店舗を皮切りに、年内に400店舗で統合を実施する予定だ。
今回のシステム統合を専門家はどう見ているのか。
ITコンサルティングを手掛けるテックバイザージェイピーの栗原潔社長は「歴史的に例のない大規模な統合であることは確かだ。トラブルをゼロにはできないだろう。三菱東京UFJ銀行には、不測の事態の際には正しくコントロールしてほしい」と話す。一般に、データを統合する際には「空いているフィールドを勝手に使ってしまう」などのエラーが発生することがあるという。
「米国の金融機関におけるシステム統合は、両システムの機能を残したまま、ハブなどを使った疎結合の形で統合することが多い。今回は旧東京三菱銀行への“片寄せ”であるため、旧UFJ側のシステムを統合する作業の難易度は高いと考えられる。日本の場合はSLAも厳しく“ミリタリースペック”などと呼ばれることもあるほどなので、大変だろう」(栗原氏)
ITR内山社長の見方
IT専門の調査会社、ITRの内山悟社長は「多少のトラブルが起きるのは当然だ」と指摘する。データの消失などはあってはならないが、移行に失敗したらやり直せばいいという考えだ。
マスコミや金融庁などがこうしたシステムトラブルに厳しい見方をすることについて「5月のATMのトラブルも、起きて当たり前というレベルのものだった。あの程度で大騒ぎすることで、マスコミや金融庁がいかにITを分かっていないかが分かる」とコメントした。
データ移行で一般に起き得るトラブルについて内山氏は「データ移行の途中でシステムに障害が発生し、不正なデータが生成される」といった状況が考えられるという。「データの区切りを間違えて、複数のデータが不正に結合することもある」。
「そうしたデータはゴミになるため、テストで検証できる。誤って不正な預金の引き落としが起きるといったことはあまり考えられない」(内山氏)
三菱東京UFJ銀行は「もし障害が起きた場合、影響の範囲、代替策の有無を営業担当者やホームページを通じて速やかに顧客に伝える」考えだ。
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