「オープンソースを多用」だからこそ作るサンプルアプリ:闘うマネジャー(2/2 ページ)
駄目なものは駄目、と言いたいけれどなかなかうまくいかないのがシステム構築。オープンソースを多用したシステムの場合はなおさら不安が先立つことが多いのではないか。少しでもプロジェクト失敗のリスクを減らすため、発注に際してサンプルアプリを付けることは効果が大きい。
サンプルアプリがもたらす効果
理屈ではうまく動くはずだが、ちゃんと動くかどうか分からない部分はどうしてもある。まして、オープンソースを多用している状況では、やってみないと分からない部分は存在する。難癖型は、仕事のできない上司と同じで、巧みにこの部分を突いてくる。ならば、事前に動くことを証明してしまえばいいと考え、サンプルアプリを作成することにしたのだ。
作成は、信頼できる地場企業にお願いしている。検証を終えたサンプルアプリは、入札前に渡す設計書に紙もしくはCDの形で添付することになる。入札前に細かな発注を行うことになるので面倒なのだが、サンプルアプリは次の3つの副産物をもたらしてくれる。
(1)難しい部分の検証は行っているので、やばそうなベンダーが落札してもそれなりにできあがってくる。
(2)難しい部分のサンプルがあるので、リスクが減り入札価格が下がる。
(3)サンプルがあるので、開発期間が短縮される。
では、実際にやばそうなベンダーが落札したらどうしているかというと、それなりにできあがったところで退散いただいている。動かないようなら困るが、サンプルアプリの効果でそれなりに動く。退散いただいた後は、設計書の不備などを訂正し、設計書を作成してくれたベンダーもしくはサンプルアプリを作ってくれたベンダーに改修を委託する。
やばそうなベンダーは得したようだが、実は何も得をしていない。落札したといっても、サンプルアプリのおかげで落札価格は下がっている。保守で取り返そうとしても、保守は改修を委託したベンダーが行うので、何もできない。単に最初に仕事をしただけとなる。当然、おいしくない。
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