Eclipseを通じてオープンソースを利用する企業ユーザー:企業がOSSに理解示す(2/2 ページ)
企業はオープンソースソフトウェアを利用することでメリットを享受しているだけでなく、Eclipseモデルを通じてオープンソースに貢献するという形でもメリットを得ている。
Open Financial Market Platformの開発
ミリンコビッチ氏によると、ドイツのDeutsche Postが寄贈したコードは、「Swordfish」プロジェクトの推進に役立ったという。Swordfishプロジェクトについて述べたEclipseのWebページによると、同プロジェクトの目的は拡張可能なSOA(サービス指向アーキテクチャ)フレームワークを提供することである。このフレームワークは、サービスレジストリ、メッセージングシステム、BPEL(Business Process Execution Language)エンジンなどのオープンソース/商用コンポーネントで補完することにより、既存および最新のオープン標準をベースとする総合的なオープンソースのSOAランタイム環境を形成するという。
Boeingが寄贈したコードは、「OSEE」(Open System Engineering Environment)プロジェクトの推進に貢献した。OSEEに関するEclipseのWebページには、「OSEEはリーンエンジニアリングをサポートする緊密な連携環境を提供する。これは、ユーザーが定義できるシンプルなデータモデルを中心に統合され、アーキテクチャとデザイン、要件管理、実装、確認、検証などを含めた製品のライフサイクル全体にわたる双方向の明確なトレーサビリティを提供する」と記されている。
Kauthing Bankは、「Open Financial Market Platform」プロジェクトの推進につながるコードを寄贈した。EclipseのWebページによると、「Open Financial Market Platformプロジェクトの目的は、業界のビジネス要求と最先端の技術に基づいて、拡張可能なコンポーネントベースのFinancial Market Platformを構築することである」という。
また、Cisco Systemsが寄贈したコードは、「Eclipse Tigerstripe」プロジェクトの立ち上げにつながった。Eclipseによると、「Tigerstripeはモデル駆動型エンジニアリングのフレームワークであり、特に通信業界をサポートする」としている。
Swordfishプロジェクトを除き、これらのEclipseプロジェクトはいずれも、Eclipse技術の上に直接構築されているか、もしくは同技術を利用して開発された。ミリンコビッチ氏によると、Swordfishは「Eclipse Equinox OSGi」(Services Gateway Initiative)パッケージを利用するように修正が行われているという。
ミリンコビッチ氏は、企業のIT部門でオープンソースソフトウェアの採用拡大が進むのに伴い、さらに多くの企業がEclipseに参加するものと予想している。「最初はISVの間でこの現象が見られたが、今度は企業が同じシナリオを歩んでいる。ただし、その動きはISVから5〜10年ほど遅れている」と同氏は語る。
一方、Eclipse Foundationは最近、会員規約を修正し、エンドユーザー組織が同グループに参加できるようにした。しかし上記の4つの例についていえば、Eclipse FoundationのメンバーはCiscoだけである。ミリンコビッチ氏によると、同社はコードを寄贈してから数カ月後にメンバーになったという。同氏は、ほかの企業がEclipse参加する予定や時期については何も語らなかった。
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