デジタルサイネージが広告ビジネス・セールスプロモーション戦略に変革をもたらす:アナリストの視点(2/2 ページ)
ICTの分野で、昨年から今年にかけて注目度が急上昇している分野がある。それは「デジタルサイネージ」といわれる分野である。ここ数年、薄型テレビなどを用いた看板を街中で目にする機会が増えたと、多くの方が感じているのではないだろうか。
そして、2008年度は「広告収入の増加」ならびに「ASPやSaaSといった運用形態の普及」により、前年度比118.0%の350億200万円と予測する。また、2008年度以降はデジタルサイネージを活用した広告ビジネスのさらなる拡大を見込まれ、2010年度には500億円を超えると予測する。
デジタルサイネージらしさを追求せよ
今後のデジタルサイネージ市場拡大を考える上では、「ハードウェアの設置増」や「販促ツールとしての利用増」などの即効性のある使い方も大切ではあるが、本格的な市場拡大に向けては、「広告媒体としての成功」が不可欠である。
そのためにも、『トレインチャンネル』のようにインフォメーションとあわせ生活に密着した見せ方の提案や、ベンダーは「あれもできる、これもできる」というバラ色の提案ばかりではなく、「こう運用するといつ頃に投資回収ができる」という顧客のビジネスモデルを提案することも重要となってくる。これらはほんの一例にすぎないが、こうした提案による実態としての市場の牽引が必要である。
可能ならばデジタルサイネージの設置主体事業者は、運用する担当チームを持ち、コンテンツや設置場所などの開発までを行えることが望ましい。そうすることによって、紙からディスプレイに置き換えただけの電子看板ではなく、BMW JAPANのショールーム(東京・丸の内)のような「建物と一体となった造り」「画面の連動」「専用コンテンツ制作」などによるデジタルサイネージらしさを追求した運用を期待したい。
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