「こだわり消費」を促す――顧客マネジメント成功の鍵:CRMの新潮流(3/3 ページ)
ホテル予約や観光スポット案内サービスを提供する自動車関連企業など顧客が満足するような経験を組み込む手法に注目が集まる。従来のCRMのような囲い込みとは違う。コンサルティング大手ベリングポイントのコンサルタントが解説する。
顧客マネジメント成功の鍵
顧客マネジメントの導入は、単純に顧客データベースの分析から販売戦略を策定するだけでは成功しない。顧客が買う理由、購買動機を突き詰めて考えてみると、従来のCRMで分析していた購買履歴のデータは、同ブランドもしくは類似したアイテムの推奨にとどまり、顧客経験の本質までは語ってくれないことが分かる。
購買動機、顧客を引きつける要素であるブランドヒストリーや商品企画、生産工程における職人芸のこだわりなどを、ターゲット顧客別に発信して共感を得ていくことが顧客マネジメント成功の鍵である。
- 顧客経験マネジメントは、CRMツールの導入よりも、企業が提供する価値(商品・サービス)をストーリーあるいは文化を交えて啓蒙する情報発信力、あるいは商品に加えた無形の付加価値提供力が決め手である
- 顧客の琴線に触れる「顧客経験」をコンタクトポイントごとに、シナリオとして組み込むことが重要。コンタクトセンター、WebサイトなどのITインフラをコンタクトポイント別に活用すると効果的だ
- 顧客経験の絶え間ない改善と、担当スタッフが顧客経験を発信するスキルの維持、向上が顧客マネジメントである
顧客のこだわりを満たし、「顧客を引き付ける」ことのできる顧客経験の提供を常に意識して、全社的に実践できれば、市場において存在価値のある企業として認められていく。いったん顧客を引き付けられれば、値付けが多少高くても顧客は「リーズナブル」と感じてくれる。不毛な価格競争から脱却することも可能になる。企業価値を高める上で、顧客経験を創出し、顧客マネジメントを強化していくことが今後は必要不可欠な要素になっていくだろう。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
著者プロフィール:重政 泰二(しげまさ・たいじ)ベリングポイント CRMソリューションチーム シニア マネジャー
大手小売業、放送コンテンツ事業会社のオペレーション・マーチャンダイジング・ブランドマネジメント部門、ケータイを用いたCRMソリューション事業開発などを経て現職。CRM領域において、構想策定や営業業務改革、マーチャンダイジング業務改革など、多くのコンサルティング経験を有する。
関連記事
- CRMの新潮流――戦略的情報武装で組織力を高めろ
- CRMの新潮流:客を探せ――格闘する日本企業
企業にとって顧客の開拓は生命線だ。インターネットの登場でその手法に変化が起きつつある。 - CRMの新潮流:CRMを振り返る――何がいけなかった?
第2回では従来型のCRMを振り返ってみる。従来型CRMの問題点を俯瞰することで、CRM2.0への理解を深めるのが目的だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.