さらなる進化を遂げたOpenOffice.org 3.0(2/2 ページ)
リリースされたばかりのOpenOffice.org 3.0は、インタフェース部分には改良の余地もあるが、ほとんどのユーザーは、オフィス生産性スイートとしての使いやすさがにわかに向上した部分が幾つもあることに気づくだろう。
Impressの新機能
これまでのプレリリース版では、最初のウィザードが削除されていたのでOpenOffice.org 3はMicrosoft PowerPointに追随するかに見えた。ユーザーがスライドショーに慣れてきたことを考えると、こうした変更も妥当と思えなくもなかったのだが、結局OpenOffice.orgはこのウィザードを復活させている。
バージョン3.0で特に重要な変更が、ようやくImpressで表を追加できるようになったことだ。これにより、テキストフレームを寄せ集めてそれらしく見せる必要もなくなった。ただし、表をネストさせた複雑なレイアウトの作成はまだできない。それに、表を挿入したときにはデフォルトの背景色が与えられる。そのため、多くの場合は表を作成したらすぐに色を変更することになるだろうが、表のために1、2枚のマスタースライドを用意してそれらをテンプレートとしてファイルに保存しておけば、この問題は克服できる。さらに重要なのは、最近のバージョンになってスライドの「画面切り替え」ペインですべてのスライドに対するサウンドの追加が可能になり、ようやく完全にPowerPointと同等のレベルに到達したことだ。後は付属のテンプレート集さえ充実してくれれば、フリーソフトウェアユーザーとしてはこれ以上望むことはほとんどない。
さらに、コードの多くをImpressと共有しているDrawでも、表が使えるようになった。表の追加によってアプリケーションとしての機能が強化されたDrawは、初歩的なDTPツールとしても利用できる。
オプションのパッケージ群
バージョン2.0のリリース以来、OpenOffice.orgではエクステンション(拡張機能)コミュニティーも賑わいを見せている。標準のコードでは物足りないという人は、エクステンションのリポジトリを調べてみるとよいだろう。Sun Report BuilderやSun Presentation Minimizerなど、すでに多くのユーザーからの信頼を勝ち得たツール群が存在する。
さらに3.0のリリースに伴い、この最新バージョン用にビルドされたエクステンションが少なくとも2つ提供されている。Linux.comで取り上げたことのあるPDF Import Extension(翻訳記事)では、DrawでPDFファイルを開いてPDFファイルの編集や修復が行える。スライドショーを頻繁に利用する人には、Presenter Console Extensionが重宝がられるだろう。これを利用すれば、プレゼンテーションの実施中でもひそかにノートの内容や次のスライドを確認できる。
また、エクステンションをインストールすると、OpenOffice.org 3.0にもFirefoxと同じようなエクステンションの自動アップデータが用意されていることに気づくはずだ。
まとめ
バージョン3.0で1つ残念なのは、インタフェースの一貫性向上や、90年代風の古風で雑然としたダイアログウインドウの改良、といった包括的な取り組みが見られないことだ。こうした問題への配慮が欠けているのは、SunによるOpenOffice.orgの商用版であるStarOfficeと同じコードが使われているためだろうか。StarOfficeが対象とする市場では、主要機能の根本的な見直しよりも、機能強化の方が売り上げの拡大につながる。その理由はともかく、インタフェースの整理を求める人々は、次のメジャーリリースまで後2、3年は待つ必要があるだろう。
OpenOffice.orgのインタフェースは、時代遅れではあるが、なじみ深いものであることも確かだ。また、バージョン3.0のあらゆる変更により、ほとんどのユーザーは、オフィス生産性スイートとしての使いやすさがにわかに向上した部分が幾つもあることに気づくだろう。
OpenOffice.orgは、英語など何種類かの言語のものが同プロジェクトのダウンロードページから入手できる。ほかの言語のバージョンも今後数週間にわたってリリースが行われるはずだ。
Bruce Byfieldは、Linux.comに定期的に寄稿しているコンピュータ分野のジャーナリスト。
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