T-Mobile「G1」のエンタープライズモビリティは雲の彼方:クラウド内の情報制御に問題(2/2 ページ)
T-Mobileの「G1」スマートフォンが鳴り物入りでリリースされた。GoogleのモバイルOSであるAndroidがついにデビューしたのだ。しかし企業がG1のような携帯端末を検討する際には注意が必要だという声もある。Webサービスのデータがクラウド内に置かれているからだ。
Androidは企業に受け入れられるか?
わたしはクラウドが好きだが、いったん自分のデータがインターネットリポジトリに格納されてしまえば、そのデータに何が起きるか分からないというのは確かだ。ローゼンタール氏は次のように説明している。
「G1には魅力的なアイデアが盛り込まれている。インタフェースもすてきだ。オープンソース的な性格も確かに興味深い。ただ、企業にとっての難点は、G1が少しもエンタープライズ対応でないということだ。わたしに言わせれば、現時点では企業には不満だらけの製品だ。Exchangeのサポート欠如も大きな問題だ。G1はクラウドへの接続という世界にどっぷりと漬かっている。クラウドはコンシューマーにとっては魅力的だが、企業にとってはまったく魅力がない。企業は自社の機密情報をコントロールしたり、それを従業員だけに配布したりする必要があるが、クラウドの中にはそのためのメカニズムが存在しない」
iPhoneも当初は企業に受け入れなかったことを多くの人が指摘している点について、ローゼンタール氏の意見を聞いたところ、「AppleがExchangeのサポートを提供するまで、iPhoneは鳴かず飛ばずだった」と同氏は答えた。このサポートに伴い、Exchange 2007のデバイス管理機能を通じて基本レベルのセキュリティがiPhoneに組み込まれた。
「もちろんiPhoneには、セキュリティ、管理、アプリケーション連携、アプリケーション配布などの分野で企業への訴求力がまだ欠如している」と同氏は話す。
G1がiPhoneと同じ立場となった今、Exchangeとの連携だけでなく、ある程度のデバイス管理機能が求められるという。例えば、紛失したデバイスのデータを消去する機能や、デバイスに搭載できるものをコントロールする機能などである。ローゼンタール氏はさらに続ける。
「Googleの強みは、企業向けのツールにあるのではない。Googleからそういったツールが出てくるかどうか不明だ。確かに、オープンソースのAndroidプラットフォーム上で開発するベンダーから登場するかもしれない。しかしクラウドが最もセキュアな環境だと言う人はいないだろう」
Androidデバイスのセキュア化に貢献する可能性のある企業の1社がMocanaである。同社は10月22日、Android向けの「NanoPhone Suite」を発表した。この製品は、Androidベースの携帯電話向けにファイアウォール、VPN、暗号化などの機能を開発することを可能にする。
ローゼンタール氏によると、G1にとって理想的なシナリオは、アプリケーションの連携やバックエンドのエンタープライズシステムとの接続などを含む広範な連携が実現することだという。
そこで求められるのは、AndroidがResearch In MotionのOS、Windows Mobile、Symbianと並んでエンタープライズモビリティの最先端に出るのを後押しするエンタープライズアプリケーションを開発する能力と意志があるプログラマーである。
それまでの間、G1には「コンシューマー専用」というラベルを付けておいた方がいいかもしれない。開発者がその気にならなければ、Androidにも同じラベルが付けられることになるだろう。
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