「失職後はSalesforce.comで雇って」とブッシュ前大統領(のそっくりさん):Dreamforce 2008 Report
Dreamforceの2日は、ブッシュ前大統領(のそっくりさん)が登場。支持率低下の様子をダッシュボードで示すなどパフォーマンスを繰り広げた。プロダクトとしては「Winter'09」に言及され、その新機能が明かされた。
ユーザーはSalesfoce CRMを愛している
米国時間の11月4日。Dreamforceの2日目は米国における大統領選挙の日でもあった。午前中の基調講演の冒頭「今日は歴史的な日であり、皆さんがここに参集したのは偶然ではない。この日を一緒に過ごせることは、本当に喜ばしい」とマーク・ベニオフCEOは話す。そして、今日は衛生放送で、ワシントンから特別なゲストを呼んでいるという。登場したのは、なんとブッシュ(前)大統領。と思いきや、どうやらそっくりさんによるパロディー映像だった!
「1月で職を失ってしまう……」となげくブッシュ氏。彼は、ずっとSalesforce.comのサービスを利用してきたのだと述べ、支持率低下の様子をダッシュボードで見せる。職を失った後は、Salesforce.comでぜひ雇って欲しい。そうすれば政府のシステムを全部force.comに載せるという。この映像で、会場は爆笑のうずに包まれたのだった。
「このようなパロディーの後ではプレゼンテーションがやりにくい」とボヤくベニオフ氏。Dreamforce初日は「プラットフォームの日」で、2日目の今日は、CRMアプリケーションの情報を提供する日だという。
Salesforce.comのCRMアプリケーションは、情報を管理すること(Manage)、情報を共有すること(Share)、カスタマイズして使うこと(Build)の3つから構成され、この3つの分野の研究開発に投資を続けている。そして、その結果ビジネス情報をクラウドで共有し、クラウドを用い顧客や従業員の意見を取り入れられるようになっている。
「重要なのは1つだけ。それは、それはユーザーがこのサービスを愛している、ということだ。ユーザーがわたしたちのサービスに満足してくれること以上に大事なことはない」(ベニオフ氏)
ユーザーが愛してくれている証として、顧客の94%がSalesforce.comをほかのユーザーに勧めるつもりがあり、74%はすでに勧めたことがあるというアンケート結果が示された。
50以上の新機能を搭載「Winter'09」
ここで講演を引き継いだマーケティング、アプリケーション担当エグゼクティブバイスプレジデントのジョージ・フー氏は「皆さんにSalesforce.comのエバンジェリストになってもらいたい。顧客の話を聞くことこそが、Salesforce.comのCRMがナンバー1になるための源泉になる」と切り出し、27回目のバージョンアップとなる最新のCRMアプリケーションWinter'09を紹介した。
「会場にいるアレックスさんが『Salesforce.comのサービスをiPhoneに載せればいい』というアイデアを出してくれた。その結果、実現できた。皆さんはさまざまなアイデアを持っている。新しいバージョンの半分の機能は、皆さんの意見によるものだ」(フー氏)
Manage/Share/Buildという3つのCRMの構成要素がすべてクラウドの中にあり「顧客はクラウドの中にいる」とフー氏は話す。そして、昨日発表したforce.com siteが、このSalesforce CRMアプリケーションの機能をクラウド上でさらに拡張することとなる。
Winter'09で強化されたマーケティングの機能では、顧客の行動パターンを詳細に把握できるようになる。しかし企業におけるCRMの活用では、顧客を知るだけではダメだ。顧客の情報をもとに適切な営業活動を迅速に実践できる体制が必要になる。その営業体制をサポートするのが、例えばSalesforce Mobileの機能だ。Winter'09では、会社の外の営業現場でもモバイル端末から各種リポートを参照でき、さらにダッシュボードも分析できるよう機能強化された。
そしてWinter'09で最も注目すべき新機能が、パートナーズに追加される。パートナーズは、従来まではパートナー企業とのやり取りの効率的な管理を行うものだったが、Winter'09では「Salesforce to Salesforce」という新たなパートナー企業との連携機能が加わった。自社がSalesforce CRMを使っていてパートナーも同様な場合には、パートナー企業との間で完全に連携されたCRMのワークフローを構築できる。
これによりユーザー企業は、企業間統合のための仕組みを新規構築することなしに、リードや取引先などの情報を共有できるようになる。そして、共有情報の変化をトリガーにし、企業間の壁を越えたワークフローを自動的に起動して、パートナー企業とともに顧客に最適なサービスを提供できることになる。すでに、この機能はデルタ航空とエールフランスで利用されており、両社で共通する顧客へのサービスを提供する際に利用されているとのことだ。
買収で手に入れたナレッジマネジメント機能でカスタマーサービスを強化
Salesforce CRMのうち、いま最も勢いがあるのがカスタマーサービスの部分だという。顧客が抱える課題を、いち早く解決に導くための新たな機能がWinter'09では追加される。2008年8月にInStranet社を買収して手に入れた、ナレッジマネジメントの機能をWinter'09では取り込むのだ。これにより、企業のカスタマーサービス環境を根本から変えることができるという。
このナレッジマネジメント機能は、コンテンツ管理やエンタープライズ検索を実現するだけでなく、顧客のコンテキスト(製品、地理情報など)情報を追加できる。コンテキスト情報をもとに顧客情報に対し各種視点を設定でき、それを瞬時に切り替えることで多次元分析的が実現できる。これにより、無駄な検索結果を排除でき、迅速かつ最適なかたちで、顧客に回答できるようになる。
この機能は、カスタマーサービスのアプリケーションだけにとどまることなく、将来的にはビジネスインテリジェンス的な分析を行う標準機能として、ほかのSalesfoce CRMのアプリケーションでも応用が期待できるだろう。
「Winter'09の新機能のうち、ほんの一部しかここでは紹介できない。われわれは、顧客の声を聞いて顧客の望むものを提供していく。この姿勢が重要だ」とフー氏。徹底した顧客指向を貫くことが、同社のCRM製品の成長を支えていることを、あらためて強調した。
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