企業の85%がオープンソースを導入、課題はポリシーとガバナンス〜米Gartner
企業の間でオープンソースの利用が浸透していることをうかがわせる調査結果がGartnerから報告された。利用目的としては、コスト効果を狙ったものが最も多い。
調査会社の米Gartnerは米国時間の11月17日、企業のオープンソース導入動向に関する調査結果を発表した。現在オープンソース技術を導入している企業は85%、残る15%も「今後1年以内に採用する予定」と回答するなど、オープンソースが浸透していることが分かった。
この調査は、今年5月から6月にかけて、アジア太平洋、欧州、北米の企業274社を対象に、オープンソースの導入動向について聞いた結果をまとめたもの。
それによると、「現在オープンソースソフトウェアを採用している」と回答した企業は、85%に達した。「採用していない」と回答した15%の企業も、今後1年以内に採用の予定があるという。
だが、オープンソースの評価や導入にかんして「きちんとしたポリシーがない」と回答した企業は、69%にのぼった。これについてGartnerは、オープンソース技術の調達に関して、どの分野に利用するのか、どのようなIP(知的所有権)リスクがあるのかなどの面から評価するポリシーが必要とアドバイスしている。
新規プロジェクトの場合はミッションクリティカルでもそれ以外でも、オープンソース技術がほぼ同じレベルで採用されており、企業の間でオープンソースの利用が浸透していることをうかがわせた。アプリケーションプロジェクトの場合、インフラ開発用途での利用が多く、商用ソフトウェアの代替として採用する比率が高いことも分かった。
オープンソースを利用する理由としては、TCOや開発コストの削減など、コスト効果を狙う理由が多く挙がった。また、新規プロジェクトの際、オープンソースを利用すると着手しやすいという理由や、単一のベンダーへの依存を回避するための投資保護対策、開発期間の短縮なども挙がったという。
一方、課題としては、ガバナンス、技術間の条件の対立、ライセンスの種類が多すぎる、などが挙がったという。
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