Sun Microsystems:革新者のジレンマ:「ネットワークこそコンピュータ」(3/3 ページ)
Sun Microsystemsが明らかにした最大6000人に上る人員削減計画は、景気後退が予想以上の厳しさにあることを人々に実感させた。革新性から利益を上げることがいかに困難であるかを広く知らしめるものとなった。
一方、Sunは比較的新しい分野でも技術革新に取り組んでいる。それはRIA(Rich Internet Application)である。JavaFXで、SunはJavaプラットフォームをベースとする新しい技術を導入する。それはデスクトップ、モバイル、テレビ、その他のコンシューマプラットフォーム上で一貫したユーザーエクスペリエンスを実現するものだ。
最近開催されたAdobe Maxカンファレンスで、SunのJavaマーケティング担当上級ディレクター、パラム・シン氏は、開発の最終段階にあったJavaFXのデモをわれわれに披露した。
シン氏によると、JavaFXにはJavaFX SDK(ソフトウェア開発キット)用のほかに、NetBeansとEclipse用のプラグインが用意されるという。JavaFXを利用すれば、ユーザーはAdobe PhotoshopやIllustratorなど、他のアプリケーションからグラフィカル資産やメディアをインポートすることが可能になる。シン氏は、JavaFX技術が設計者と開発者の間にどのようにスムーズなワークフローを作り出すかをデモで示した。設計者が設計変更を行ったとき、その変更がIDEの中に示され、開発者が認識できる仕組みになっている。
「JavaFXはJavaの上にプレゼンテーション層を提供する」とシン氏は説明する。設計者や開発者のプロダクションスイートに加え、「われわれはモバイルエミュレータも開発する方針だ」(同氏)という。さらにシン氏は、「コントロールの開発手段として(Adobe)Flexを検討しているJava開発者は、JavaFXが1つの選択肢になるだろう」としている。
いずれにせよ、Sunは今後も革新的であり続けるだろう。革新的であることが、同社で問題になったことはない。
実はAdobe Maxで、Adobeのクリエイティブソリューションビジネス部門上級副社長、ジョン・ロイアコノ氏と話をしたとき、わたしはAdobeの将来性を示すキーワードとして、「Flash Platform」という言葉を冗談めかして使った。そして以前、Sunのソフトウェア部門の重鎮であったロイアコノ氏に、SunがユビキタスなJavaプラットフォームとの関連性を強調するために株価のティッカーシンボルを“SANW”から“JAVA”に変更したが、Adobeも追随してティッカーシンボルを“ADBE”から“FLSH”に変更するつもりはないかと聞いた。
ロイアコノ氏はクスクス笑った後、すぐに真顔になって、「Sunにそうした革新性が尽きることはないだろう。ジョナサン(シュワルツ)は困難な仕事はこなしているが、今回の件もSunを絶えず前進させるための仕掛けの1つに過ぎない」と語った。
景気後退の直撃を受けながらも、Sunは依然として業界の注目を集め続けている。はたしてSunは、その革新性から利益を生み出すために、いま何をすべきなのだろうか?
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