屋外広告やポスターはデジタルサイネージに変わる?:宣伝の主軸に変化の兆し
液晶やプラズマディスプレイを持つデジタルサイネージが、企業の広告配信方法として存在感を高めつつある。富士キメラ総研の調査結果では、商業施設や交通機関での採用が進んでいることが分かる。
調査会社の富士キメラ総研が12月2日に発表したデジタルサイネージ(電子看板)の市場調査で、2008年の市場規模が前年比114%の649億円になることが明らかになった。屋外広告に取って代わり、液晶/プラズマディスプレイを使った店舗内での広告配信に力を入れる企業が増えており、宣伝の主軸が移り変わりつつある。
同社によると、デジタルサイネージの利点は、複数のディスプレイにコンテンツを配信できること、時間帯や設置場所に応じて配信予定を管理できること、ポスターの張り替えにかかる手間とコストを削減できることにある。企業はこうした点から、新たな販売促進のツールとして採用しているという。
デジタルサイネージ市場に参入する企業の増加に伴い、安価で使いやすいコンテンツや配信管理ソフトも増える。こうした動きが市場の拡大を推し進め、2010年には2007年比136%の779億円の市場規模になるとの見通しを立てた。
商業施設や交通機関でのデジタルサイネージ導入が進む
デジタルサイネージを採用した施設別に見ると、店舗や商業施設での導入が目立った。コンテンツ管理の手間を減らせること、薄型の大画面ディスプレイの価格が下がっていることなどから、店舗の入り口や売り場への設置が増えている。モニターなどの設備を貸し出すサービスも登場したことで、中小企業での採用も進んだという。
交通機関での採用も増えている。遅延や事故情報をリアルタイムに配信できる特性が支持を集め、ポスターやLEDでの情報配信に取って代わろうとしている。駅や空港に設置したデジタルサイネージで、メディアプレーヤーを使った配信システムに対応しているディスプレイは10%程度だが、車両向けを含めると65%弱まで伸びるという。JR東日本・京浜東北線や西武鉄道の新型車両が採用したこともあり、広告市場の拡大も見込まれる。
富士キメラ総研は、デジタルディスプレイ市場、メディアプレーヤーを使った配信システム市場、同システム向けのコンテンツ制作と配信サービス市場、ディスプレイ/デジタルサイネージシステムを活用したデジタルサイネージ広告市場に分けて詳細を分析した。概要は以下の通り。
― | 2007年 | 2008年見込み | 前年比 | 2010年予測 | 2010/2007年比 |
---|---|---|---|---|---|
デジタルサイネージ市場 | 571億3000万円 | 649億1000万円 | 113.6% | 779億4000万円 | 136.4% |
システム販売/構築市場 | 393億円 | 425億6000万円 | 108.3% | 434億9000万円 | 110.7% |
コンテンツ制作配信サービス市場 | 41億3000万円 | 53億5000万円 | 129.5% | 84億5000万円 | 204.6% |
広告市場 | 137億円 | 170億円 | 124.1% | 260億円 | 189.8% |
調査結果の概要(出典:富士キメラ総研)
同社は、デジタルサイネージ市場に参入する企業、製品とシステム、用途や導入企業の動向を調査し、「デジタルサイネージ市場総調査 2008」として発表した。この調査では、街頭のディスプレイに電子データを配信して、案内や広告、販売促進に利用する端末をデジタルサイネージと定義した。
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