セキュリティ企業の米McAfeeは12月9日、2008年のセキュリティ動向をまとめた年次報告書を発表した。報告書の中では、サイバー犯罪への対策の遅れが世界経済の回復を遅らせると警告している。
報告書によると、経済危機の拡大によって「一攫千金を手にできる」という詐欺行為が急増しているほか、サイバー攻撃者が失業者を「金の運び屋」として利用するようになった。サイバー攻撃者がインターネットを悪用して一般の利用者を容易に扇動できると指摘した。
また、サイバー犯罪に対処できる警察人材が不足しているほか、スキルの向上や維持に必要なトレーニング環境が十分ではないという。サイバー犯罪が国際化する一方で、政府や警察機関の意識レベルが地域によって大きく異なり、地域の課題や事項が優先されてしまう。国際法を利用しても、各国間の捜査管轄や犯罪者の引き渡しがスムーズではないと問題提起した。
この結果、特にロシアや中国がサイバー犯罪の一大拠点となり、ブラジルが代表的な犠牲国になったという。攻撃者はブラジル国内のPCをボットマシンに仕立て、世界中のシステム攻撃に利用しているとみられている。
デイブ・デウォルト会長兼CEOは声明で、「各国が資金や人材の提供に加えて、法規制の効率化や世界規模での連携に取り組まなければ、2009年以降も脅威をなり続けるだろう」とコメント。同社の専門家は、経済危機がサイバー犯罪者の不正行為を助長しており、国際的な取り組みを駆使して対抗しなければサイバー犯罪が世界経済の停滞を助長すると述べている。
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