新統合サーバ製品にみるマイクロソフトの深謀遠慮:Weekly Memo(2/2 ページ)
マイクロソフトが先週18日に発表した中堅・中小企業向け新統合サーバソリューションには、同社の深謀遠慮がうかがえた。その勘所とは――。
来年にはオンラインサービスも
筆者が2つ目に注目したポイントは、現在、つまり今というタイミングに今回の新製品を投入したことである。これは冒頭に紹介した佐分利常務のコメントに集約されるが、同社は今回の新製品投入を機に、「Save Money. ―― 苦境をのりきる、攻めのITを。」をキャッチコピーとした販促キャンペーンを開始した。
これにより、「中堅・中小企業が将来を見据えた戦略的なIT投資を低コストで実現できるよう、パートナー各社と緊密に連携し、中堅・中小企業の多様なITニーズに対応したソリューションのシナリオを提供するセミナーを共同開催したり、ソリューション提案支援コンテンツを展開したりするなど、各種施策を順次実施していく」としている。
そして、中堅・中小企業の多様なITニーズに対応したソリューションには、仮想化技術による既存資産の有効活用、コミュニケーションとコラボレーションの統合化、サーバ統合による運用管理費用やスペースの削減、ボリュームライセンスによるソフトウェアの効率的な購入、などのシナリオが掲げられている。当然ながらこれらのシナリオには、同社がここ数年で拡充してきた、Office Systemをはじめとしたソリューション群がきめ細かく当てはまる。
豊富な資金力があるからこそ成せる業ではあるが、ITを景気回復の原動力にしたいという同社の心意気は大いに伝わってくる。しかもこの販促キャンペーンは、パートナー企業との連携強化も強く意識している。実はこれが3つ目のポイントにもつながってくる。
その3つ目のポイントは、未来、つまり次なる展開だ。佐分利常務が会見の最後にこんなことを語っていた。
「統合サーバソリューションは今後、オンプレミス(自社運用)型だけでなく、オンラインサービスによるホステッド型も用意し、ユーザーに幅広い選択肢を提供していく」
オンラインサービスは、まさしく同社におけるクラウドコンピューティング戦略の一端を担うものだ。その根底には「ソフトウェア+サービス」というパートナー企業との連携強化も織り込んだ同社の事業コンセプトがある。今回の新製品であるEBS2008およびSBS2008の上位にWESSというカテゴリがあるのも、それをにらんだ製品体系なのだろう。
佐分利常務によると、統合サーバソリューションのオンラインサービスは、同社における来年第2四半期(4-6月)にお目見えするという。そして先に紹介した販促キャンペーンも来年6月末まで展開される予定だ。そう考えると、今回の新製品発表はWESS製品群の第一弾にすぎないのかもしれない。この先、WESSは想像を超える巨大な製品・サービス群になっていくのではないか。そんな同社の深謀遠慮を垣間見た気がした。
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