景気悪化でも衰え見せず、ITコンサルティングへの投資意欲:システムの見直しや統合がけん引
景気悪化の逆風が吹き、企業のIT投資が減少すると予測される中、ITの戦略立案やソリューションの選定などを支援する「ITコンサルティング」への投資意欲は衰えないようだ。
金融不安に伴う景気への逆風が吹き、企業がIT投資を減らすと予測される中、IT戦略の立案やソリューションの選定、システムの運用を支援する「ITコンサルティング」の市場は、年平均13.8%の成長と好調に推移する――調査会社のミック経済研究所が1月8日に発表した調査で、企業によるITコンサルティングへの投資意欲の実態が明らかになった。
同社によると、国内における2008年度のITコンサルティングの市場規模は前年比10.1%増の4724億6600万円になる見込み。2006〜2015年度までは年平均13.8%の成長を見せ、2015年度には1兆2000億円規模に拡大すると予測する。
2008年の2けた成長の要因は、2007年度に好調だった内部統制や文書化へのニーズ、大手企業の関連子会社や連結子会社のシステム統合に伴うERP案件などの好調が上期まで続いたこと。不景気に伴い案件の減少が推測される2008年下期を飲み込む形になった。
2009年以降は、「ユーザー企業のシステムのスパゲティ化やアプリケーションの重複などの棚卸しとシステム運用の見直しが進む」(ミック経済研究所)など、引き続きITコンサルティングへのニーズが拡大すると予測。「株価の下落に伴い企業がM&A(合併・買収)を考え、システムの基盤を柔軟に構築するSOA(サービス指向アーキテクチャ)案件も増える」(同)という。
調査は、国内のITコンサルティングファーム、システムインテグレーター、パッケージベンダー45社を対象に実施した。
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