視認率70%超の電子ペーパーサイネージ、仙台駅に設置:凸版が商用化
低消費電力で密閉構造を実現する電子ペーパーを活用したデジタルサイネージが、地下鉄仙台駅のホームに導入された。コストが掛かり、増設しにくい従来の内照広告枠に代わる広告配信媒体として期待がかかる。
凸版印刷は1月13日、地下鉄ホームに設置した電子ペーパー型デジタルサイネージ(電子看板)を使った情報提供サービスの提供を2008年12月に開始したと発表した。電子ペーパーを広告表示に活用した商用化は世界初という。
情報提供サービスの名称は「まちコミ」。地域のニュースや天気予報などのコンテンツと広告を15秒ごとに配信するサービスで、ディスプレイに表示する画像や時間帯はWebブラウザを使って指定できる。RSSを使ってテキスト情報を自動更新することも可能。
広告の掲載料は、1コマ15秒を1週間に1260回表示する「1週間プラン」が5万円、1カ月に5400回表示する「1カ月プラン」は10万円。今後凸版印刷は、デジタルサイネージ関連の事業で2012年に10億円の売り上げを目指す。
実証実験で70%の視認効果
商用化の第一弾として、まちコミを配信する電子ペーパー型デジタルサイネージが、地下鉄仙台駅のホーム対向壁1番線に1台、2番線に1台、地下鉄勾当台公園駅のホーム対向壁1番線に1台設置された。
凸版印刷は、低消費電力で密閉構造を実現でき、発熱しない電子ペーパー型のデジタルサイネージを開発し、2007年12月より仙台市交通局と実証実験を実施した。5秒以上広告を見た人を数えて視認効果を確認したところ、設置前の2007年11月の視認効果が46.0%だったのに対し、設置後の2008年1月は68.9%、7月は71.6%の注目率を集めた。
一定の成果が出たことで、商用化にこぎ着けた。ホームに設置している内照広告枠は通常、広告の差し替えにコストが掛かり、増設も難しい。また、線路脇で生じる鉄粉がディスプレイの冷却口に入り込んで故障をもたらす恐れがあるため、地下鉄のホームは液晶やプラズマディスプレイの設置に適していなかった。こうした課題を解決できるという。
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