KDDI、au携帯電話に新コンセプト導入:需要喚起と長期利用の狭間で
KDDIは春商戦向けのau携帯電話新機種を発表。1台の端末を長期利用する傾向やニーズが強まる中、新コンセプトモデルで需要喚起を図る。
KDDIは1月29日、au携帯電話の春モデル10機種と新サービスを発表した。割賦販売制度の浸透や急激な景気後退の波を背景に1台の端末を長期利用する傾向が強まる中、こうした動向に沿った戦略を展開する。
冒頭、小野寺正会長兼社長は春商戦での事業方針を説明。固定および移動体通信サービスの融合化を柱とした内容を拡充し、情報通信サービスの側から新たな利用シーンを顧客に提案する内容を推進する。
小野寺氏は、「情報通信のメリットを享受するユビキタス社会から、情報通信が当たり前のものとして日常に溶け込む“アンビエント社会”へと移るべき。情報通信が安心・安全な生活を支える役割を果たすだけでなく、新たな日常シーンを訴求するようにしなければならない」と話した。
新モデルでは、同社が従来から提案してきた音楽やスポーツでの携帯電話の利活用を推進する端末に加え、1台の端末を長期的に使い続けたいというユーザー向けの「NEW STANDARD」シリーズの「NS01」「同02」を投入する。高橋誠常務は、「個性的な端末というより、長く使い続けても飽きの来ないデザイン、大きく使いやすいキーや文字表示といった基本的な要素を重視した。今後の主力シリーズの1つになる」と説明した。
このほかの新端末では、同社初のタッチパネル液晶画面を搭載した「CA001」やエンターテインメント機能を強化した「Premier 3」、立体画像の表示に対応した「H001」などを投入する。春商戦では、すでに発表した法人向け「E30HT」と「E05SH」(E06SHは夏の発売)を含め合計12機種をラインアップする。
新サービスでは、ナビゲーション機能の「EZナビウォーク」で立体画像表示を可能にするほか、アニメーションメールなどを新端末で始める。また、近接無線技術の1つである「TransferJet」を利用したデータ流通のビジネスモデルの検討も本格的に取り組む。
TransferJetでは、対応機器同士の通信距離を3センチメートル程度として、最大300Mbps程度の高速データ通信が行える。NTTドコモやソニー、キヤノン、日立製作所、パナソニック、Samsungなどが加盟する推進団体「TransferJet Consortium」に同社も参画しており、同社では映像や音楽、画像データの配信ビジネスや端末同士でのセキュアな転送技術などの研究を進めるとしている。
今後の展開について、小野寺氏は「新サービスを新端末だけで利用できるといった従来の特徴付けでは厳しく、一人ひとりのユーザーが長期間安心して使い続けられる環境を整備していく。それらにつながる新しい提案で、auらしさを回復する1年にしたい」と話した。
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