セキュリティソフトメーカーの米McAfeeは1月29日、企業の重要情報の保存や流出に関する調査結果を公表し、世界同時不況で情報流出のリスクはかつてなく高まっていると指摘した。
調査は米国、英国、ドイツ、日本、中国、インド、ブラジル、ドバイで企業のCIO約800人を対象に実施。知的財産など重要情報の保管、移動、流出などの状況について尋ねた。
その結果、調査対象の企業から流出した知的財産情報は2008年だけで推定46億ドル相当に上り、被害修復のため約6億ドルが費やされたことが分かった。世界全体の被害額は1兆ドルを超すとMcAfeeは推計している。
回答者の39%は、現在の経済環境で重要情報はかつてなく脆弱になっていると指摘。犯罪組織が企業情報を狙うケースは増えているといい、39%が外部からの知的財産盗み出しを最大の懸念として挙げた。
一方で雇用情勢が不安定になる中、従業員による犯罪も懸念される。解雇した従業員が重要情報にとって最大の脅威だとの回答は42%に上った。世界的な経済危機は重要情報のグローバルメルトダウンにつながりかねないとMcAfeeは言い、支出削減や人員削減圧力が強まる中で防御が手薄になれば、犯罪のチャンスは増すと警鐘を鳴らしている。
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