CitrixがXenDesktopの新バージョンをリリース:デスクトップ仮想化機能とユーザー体験を改善
CitrixのXenDesktopの新バージョンは、オフィスワーカーがデスクトップ仮想化を簡単、安価に利用できるようにするのが狙いだ。1台のサーバがサポートするデスクトップの数が増えたほか、マルチメディア/音声配信機能も改善された。同社はエンドツーエンドの仮想化ソリューションでVMwareとの差別化を図る考えだ。
アプリケーションデリバリー専業ベンダーであるCitrix Systemsは、デスクトップ仮想化製品の新バージョン「XenDesktop 3」をリリースした。同社はこの製品でIT部門の仮想化コストを削減すると同時に、デスクトップを使っているオフィスワーカーにシームレスなマルチメディア環境を提供するとしている。
Citrixが2月4日に正式にリリースした仮想化ソフトウェアのXenDesktop 3は、サーバから配信されるデスクトップとローカルでホストされるデスクトップの両方をサポートする。
2009年の重要課題として、デスクトップ仮想化とクラウドコンピューティングを推進しているCitrixは、「Delivery Center Suite」という製品も提供している。これは中央のデータセンターから個々のクライアントに仮想デスクトップイメージを配信する製品で、Citrix XenDesktop、XenServer、App Receiverで構成される。
Delivery CenterとXenDesktopは互いに補完する製品だが、CitrixはXenDesktop 2.1のリリースから約半年後に発表したXenDesktop 3を「Project Independence」から正式に分離した。Project Independenceでは、CitrixはIntelなどの企業との協業を通じて個々の仮想デスクトップ向けのソリューションを提供する。
CitrixはXenDesktop 3のリリースにより、VMwareによるx86仮想化市場の支配に挑戦するだけでなく、仮想化を利用してOS、アプリケーション、データを従業員に配信する一元的なデスクトップインフラを構築するITマネジャーを、魅力的な価格設定で引き付ける考えだ。
一元管理型デスクトップ仮想化製品の最大の魅力は、データのセキュリティを確保できるという点にあるが、その技術をサポートする新しいインフラを構築するのに必要なコストにITマネジャーたちは尻込みしてきた。
Citrixによると、XenDesktop 3では必要なサーバとデータセンターインフラ設備が約50%減少するため、管理コストを削減できるとしている。同製品に含まれるXenServerでは、1台のサーバがホストする仮想デスクトップの数が2倍に増えたため、1000ユーザーをサポートするのに必要なサーバは25台で済むようになった(従来は50台)。XenDesktop 3の標準小売価格は、同時接続ユーザー1人に付き75ドルから。
「この価格設定は、本格的な普及の妨げとなってきた大きな障害に対処するものだ。設備投資における最大のコスト要素が半分に削減されたのだ」とCitrixで製品マーケティングを担当するサミット・ダーワン副社長は話す。
IT管理という面では、XenDesktop 3はローカルでホストされるデスクトップとサーバから配信されるデスクトップの両方のプロファイル管理機能を組み込むことにより、簡素化された環境を提供する。Citrixによると、これによりMicrosoft Windowsプロファイルをめぐる問題の大半が解消されるという。
コストの削減とIT管理環境の簡素化に加え、XenDesktop 3は「HD-X」技術によるユーザー体験の改善を狙っている。HD-Xはローカルネットワークのマルチメディア機能を高速化することにより、「高解像度体験」をユーザーに提供するという。同技術は総合的なアプローチを採用し、データセンター、ネットワークおよび個々のデバイスで構成されるシステム全体を最適化する。
「サーバは一般に、ビデオを圧縮せずに処理する。XenDesktop 3では、ファイルは圧縮された状態でエンドポイントに送信された後、エンドポイントで処理される。マルチメディアの処理がローカルマシン上で行われるのだ」とダーワン氏は説明する。
HD-Xは個々のデスクトップのハードウェア能力を利用することにより、写真編集、アーカイビング、地理空間/マッピング、3D CADなどのアプリケーションのように高い処理能力を要求する機能の高速化も実現する。
さらに、XenDesktop 3システムは、ダーワン氏が「インテリジェントオーケストレーション」と呼ぶ技術も利用する。これは、システムがサーバ、ネットワーク、エンドポイントの能力を検出し、デリバリー構造の能力に基づいて適切なネットワーク最適化を実行するというもの。
「これによりメンテナンスが簡単になり、最適なユーザー体験を実現できる。不必要なサーバアップグレードをユーザーに強要することもない」とダーワン氏は話す。
XenDesktop 3は、MP3プレーヤー、スマートカード、デジカメなどのUSBデバイスもフルサポートする。
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