サーバ仮想化市場、年平均成長率は30%以上超に:仮想化がコスト削減の引き金に
コスト削減の一環としてサーバの仮想化を選択する企業が増えそうだ。ミック経済研究所の調査によるとサーバ仮想化ソリューションの市場規模は、2013年度まで年率30%以上の成長を続ける。
市況の悪化が進む中、コスト削減の一手として注目が集まるのが仮想化だ。調査会社のミック研究所は、サーバの仮想化サービスを構成するハードウェア、ソフトウェア、構築、保守・運用を「サーバ仮想化ソリューション」と定義し、同市場を調査したところ、2013年度まで年平均30.9%で成長し、2012年度には3920億円規模になることが分かった。
同研究所は、サーバ仮想化ソリューション市場が本格的に成長し始めたのは2008年度と分析。2007年度に試験段階だった仮想化環境のシステムが本番環境に移行するなど、案件ベースで仮想化の採用が増えたことが、市場規模を拡大させた。数千台規模の大規模なサーバ統合の案件を獲得したITベンダーが出てきたことや、「Hyper-V」や「Oracle VM」といった仮想化ソフトウェアが普及したこともあり、2008年度の市場規模は前年比159.9%の1248億円に達した。
コスト削減に対する企業の意欲は旺盛で、2009年度以降も市場規模は膨らむ見通し。2008年度下期以降、入れ替える予定だったサーバを仮想化環境に移行することで、ハードウェアの投資コストを削減しようとするユーザー企業が増えているという。シンクライアント(記憶装置を持たない端末)やディザスタリカバリ(災害復旧)の用途でも、仮想化ソリューションの利用が拡大するという。
調査は、国内のハードウェアベンダー、仮想化ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター計50社に実施。VMwareやHyper-V、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」など代表的は仮想化ソフトウェア9つについて、サービスや業種、用途などに分けて、市場規模を分析した。
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