研究開発への投資が縮小傾向 景気悪化で雇用以外の「聖域」にもメス:半数以上が予算の凍結や見直し
「聖域」と言われていた研究開発への投資が縮小傾向にある。研究開発や新規事業の担当者に研究開発への投資意欲を調査したところ、約6割が投資の凍結や見直しを図ると答えた。三菱総合研究所とNTTレゾナント調べ。
「聖域」と言われていた研究開発への投資が縮小傾向にあることが、三菱総合研究所とNTTレゾナントの調査で明らかになった。研究開発や新規事業の担当者に研究開発への投資意欲を聞いたところ、約6割が投資の凍結や見直しを図ると答えた。
景気の悪化に伴い、研究開発の投資にどう影響が出るかを聞いたところ、「既に一部で凍結が発生している」が32.6%、「全面的に予算の見直しを実施している」が27.9%に上り、合計で60.5%が予算の凍結や見直しを進めていることが分かった(図1)。
来期以降の投資については、「積極的に投資していく」と答えたのは12.3%と1割強にとどまった。「投資全般を削減」(17.0%)、「一部削減」(70.7%)を合わせた9割弱が、研究開発の規模を縮小させる考えだ(図2)。
研究開発の選択と集中も進みつつある。中核ではない研究開発について他社への売却・移管の意志があるかを聞いたところ、「非常に感心がある」が7.6%、「関心がある」が28.3%になった(図3)。
売却・移管の推進理由は、「研究開発のコスト削減が必要」(31.7%)とコスト削減の視点がある一方、「他社や他研究機関との連携によるオープン・イノベーションが必要」(53.7%)といった研究開発への前向きな回答も多かった(図4)。
NTTレゾナントは今回の調査結果について、「これまで聖域と言われていた研究開発分野でも、厳しい経済環境により、売却や移管への関心が出ている」とまとめている。
「金融危機下の研究開発の方向性」というテーマで、インターネットによるアンケート調査を実施した。調査期間は1月23日から27日で、有効回答数は276だった。
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