Windows 7で企業ユーザー取り込みに躍起になるマイクロソフト:起動速度は40%改善
マイクロソフトは次期クライアント向けOS「Windows 7」を先行して提供する施策を開始すると発表した。
マイクロソフトは2月19日、次期クライアント向けOS「Windows 7」を先行して提供する施策を2月20日から開始すると発表した。Vista Businessを搭載する3台以上のPCを保有する法人ユーザーは、Windows 7の企業向け最上位版の開発が終わり次第、通常よりも大幅な割引価格で移行できる。Windows 7登場を待つユーザーの買い控えを防ぐ狙いがあるとみられる。例えば、2008年8月以降にPCを購入した場合、専用のライセンスを購入すれば1万2000円でWindows 7に更新できる。
マイクロソフトのビジネスWindows本部、中川哲本部長は「Vistaと7はカーネルが同じなので、メモリやI/O管理を含めβ段階で98%の互換性がある」と話す。Vistaで動作しているアプリケーションやハードウェアはWindows 7でも動くとして、両OSの互換性の良好さを強調する。
Windows 7 Enterpriseは、Vistaよりも性能面で多岐にわたって向上しているという。起動速度は40%近く改善。メモリのフットプリントの低減や起動時のサービス数の低減、メモリマネジャーの見直しなどを施したことで実現した。消費電力も、20〜30%低減した。プロセッサへの電源供給の改善、無線LAN未使用時に電源供給しないといった工夫によるものという。
モバイルでの社員の生産性向上も図った。IPv6や、IPのパケットを暗号化して送受信するIPSecを利用したネットワークを活用することで、VPN接続をすることなくオフィスと自宅などで同じ環境でPCを利用できるという。
パフォーマンスも強化する。これまでWAN経由で本社などのネットワークを利用していた支社のユーザーが、本社と同様のパフォーマンスを体感できるようにする。これは、あらかじめ支社側のシステムに本社からのダウンロードコンテンツをキャッシュとして蓄積することで実現。支社のユーザーはキャッシュを参照するため、高速に情報を取得できる。
検索機能も統合した。これまではインターネット、PC内、サーバなど検索対象によって違っていた検索手段を1つに統合する。
セキュリティも強化する。新たにUSBメモリなどのリムーバルドライブ上のデータを暗号化できるようにした。組織の方針で暗号化の使用を強制することもできる。
Vista発売の際、XPで動作していたソフトウェアが動かないといった問題が多発した。この問題を解決するために、マイクロソフトは仮想化の仕組みを活用する。Windows Optimized Desktopと呼ぶ拡張ソフトウェアパックに含むApplication Virtualizationを使うことで、OSに依存しないソフトウェア稼働環境を構築できるという。
Vistaで企業ユーザーの獲得に失敗したため、マイクロソフトはWindows 7の企業向けの利点を強調していくと考えられる。
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