委託先の二次漏えいをばっちりガード 「SOM Creator」:ALSIが新製品
ALSIは、WordやExcel、PowerPointなどのファイルを自動的に暗号化して、企業間で安全にファイルを送受信できる新製品を発売した。ファイルを送信する委託先企業の二次的な情報漏えいを防げる。
アルプス システム インテグレーション(ALSI)は3月11日、WordやExcel、PowerPointなどのファイルを自動的に暗号化して、企業間で安全にファイルを送受信できる新製品を発売した。ファイルを受信する側の二次的な情報漏えいを防げるのが特徴。委託先や取引先を多く抱える製造業などの企業に売り込む。
製品の名称は「SOM Creator」という。専用のサーバを導入すると、ファイルを暗号化する「共有フォルダ」がサーバ上に作成される。共有フォルダのパスワードや保存権限、印刷回数、有効期間を設定して送信ファイルを入れると、これらの権限を設定した128bitAES暗号化ファイルに自動変換する。暗号化する前のファイルは、バックアップ用のフォルダに自動で保存される。
暗号化されたファイルの受け手は、送り手が設定したパスワードを入力すると、復号化したファイルを開ける。ファイルを開くための専用のクライアントソフトやビューアは必要ない。設定した閲覧回数を超えると受信したファイルがクライアントPCから自動的に消えるため、委託先によるファイル共有ソフト「Winny」を介した情報漏えいや悪意のあるユーザーによるデータの改ざんを防げる。
ALSIセキュリティソリューション部マーケティンググループの清水康雄氏は「暗号化したWordやExcelなどは無償の解析ツールでパスワードを見破られやすい。SOM Creatorで暗号化したファイルはexe形式の実行ファイルのため、フリーツールなどでは復号化できない」と述べ、二次漏えいの防止に自信を見せる。
パスワードと各種権限を付与できるファイルは、Word/Excel/PowerPoint。CADやPDFなどのファイルはパスワードの自動設定のみに対応する。1度に暗号化できるファイルの容量は100Mバイトを想定。100Mバイトを超えると暗号化の処理速度が遅くなるという。
清水氏は競合製品として日立ソフトウェアエンジニアリングの文書管理サービス「活文」を挙げる。「活文は暗号化の前にファイルをPDF化するのに対し、SOM Creatorはファイルをそのまま暗号化できるため、手間を減らせる。価格も1ケタ違う」と説明し、新製品の優位性を強調した。
CADや仕様書など、委託先とのファイル交換のやり取りが多い製造業などに製品を売り込む。委託先ごとに暗号化フォルダを作り、2社で決定したパスワードを設定しておくことで、ファイルごとのパスワードの設定や委託先への通知の手間を減らせる。履歴書や職務経歴書などを多数扱う人材業界などにも拡販する。
価格は1サーバ当たり30万円(税抜き)。初年度に1000サーバの導入を目指す。ASP(ソフトウェアの期間貸し)形式でサービスとして提供することも可能。サービスの価格は未定。暗号化するファイル数や利用期間による課金を考えているという。
動作環境は、サーバOSが「Microsoft Windows Server 2003 Standard Edition(日本語版)」、CPUが「Pentium 4 2.4」GHz以上、メモリが1Gバイト以上、アプリケーションが「Microsoft .Net Framework 2.0」以上。各種の権限設定に対応するOfficeアプリケーションは「Word 2000/2002/2003/2007」「Excel2000/2002/2003/2007」「PowerPoint 2000/2002/2003/2007」。
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