パワポで年賀状づくりを――マイクロソフトがOfficeの販売戦略を転換:タレント起用も
マイクロソフトは企業向けというOfficeの硬いイメージを壊す考えだ。Office製品の家庭における楽しみ方を動画で紹介する特設サイトをつくるなど力を入れている。
マイクロソフトは、主力ソフトウェア「Office」の対象ユーザーを見直し、家庭での利用者増を図る。マーケティング活動でも、タレントを使い、Office製品の家庭における楽しみ方を動画で紹介する特設サイトをつくるなど、企業向けというOfficeの硬いイメージを壊す考えだ。
同社が2008年10月31日に開始したのが「オフィス 2007 でヒーローになろう!」というキャンペーン。家庭のPCでOffice 2007の利用を促す。特に企業向けのイメージが強いプレゼンテーションソフトのPowerPointで、年賀状やサークル活動の案内状、デジタルカメラを使った写真アルバムを作成しようと呼びかけているのが特徴的だ。特設サイトでは、パワーポイント版昔話「かぐや姫」編などの動画コンテンツを用意し、Officeの家庭における新たな使い方を提案している。
インフォメーションワーカービジネス本部の飯島圭一氏は「Officeの新たな市場開拓のため、企業ではなく家庭での利用ニーズを掘り起こしたい」と話す。現在20本ある動画を6月30日までに新たに30本加え、50本にする予定だ。
4月の初旬には、タレントの南明奈さんが出演する新社会人向けの作品を掲載する予定だ。マイクロソフトが自社製品のプロモーションにタレントを使うのは珍しいという。現状、Officeユーザーの比率は企業対家庭で「およそ9対1」。飯島氏は「もっと家庭でつかってもらうためには“花火”を打ち上げる必要があった」と話す。「OLというシチュエーションにはまりそうだ」と判断し、南さんの起用を決めたとしている。
特設サイトを用意した理由は「口コミ効果を狙っているから」(飯島氏)。ブログやSNSの書き手に、ユニークな動画を紹介してもらう考えだ。
販売戦略の転換には、企業におけるOfficeへの需要が頭打ちになっている背景がある。一方、フリーソフトウェアのOpenOffice.orgへのけん制という見方もできるが「家庭でOpenOfficeを使っているという話はあまり聞かない」(同氏)ため、特に意識はしていないようだ。ただし、OpenOfficeへのユーザー流出の予防策という意味合いはあるとしている。
稼ぎ頭であるOfficeの成長が頭打ちになり、マイクロソフトが知恵を絞って拡販を図る様子がうかがえる。
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