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キーワードは「イノベーション」ニュース解説 JUASの企業IT動向調査

JUASが4月8日に発表した「企業IT動向調査2009」では、本調査(08年11月)とともに追加調査(09年3月)も実施。その結果とIT推進組織のあり方について考察する。

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 社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が4月8日に発表した「企業IT動向調査2009」によると、09年度の企業のIT予算は大きく落ち込む傾向が鮮明になってきた。08年11月時点の本調査の結果は既報の通りだが、JUASではその後、景気が急速に後退したのを受けて、09年3月に追加調査を実施した。

 それによると、09年度のIT予算の予測は、「増加」を予測する企業が20%、「減少」を予測する企業が55%で、増加と減少の割合を指数化したDI値はマイナス35となった。本調査時の09年度予測の0と比べると35ポイント減となり、まさに未曽有の経済危機の進行を実証する結果となった。1社当たりの平均予算額も、本調査では約1.3%の減少となっているが、追加調査では約10%減まで落ち込むことが明らかになった。

 同調査では、IT推進組織のあり方についても言及している。それによると、IT部門の役割は「全社システムの企画」「IT予算の管理」「IT戦略の策定」に特化しつつある。一方で、「システム開発・運用」「ネットワーク管理」は情報子会社が担う割合が減少し、アウトソーサーが担う割合が増加しているという。

 また、現状のIT組織体制では「開発ノウハウの空洞化」や「縦割り組織の弊害」で開発が遅れる現実が浮き彫りになってきており、そのための改善策として「経営との連携強化」「IT部門の要員の増強と人材の育成」を挙げる企業が多かったとしている。

 さらにインタビュー形式で「将来のIT部門のあるべき姿(ミッション)」を調査したところ、次の3つに整理されるという。1つ目は、企業のインフラとしてのITシステムを24時間365日安定的に運用し、会社に安心感を与えること。2つ目は、業務部門と連携して業務改善のシステムを開発すること。3つ目は、企業改革のエンジンとして企業のイノベーションに貢献すること。そして、今は1つ目の役割が最も大きいが、将来は3つ目の役割が大きくなっていくとの見解を示した。

 この点について、積水化学工業 コーポレート情報システムグループ長でJUASの調査部会長を務める寺嶋一郎氏は、「大きな経済危機の中で、今後、企業のIT投資はその本質が厳しく問われることになる。ただ、不況だからこそガバナンスなどの観点から、部分最適でなく全体最適を一層押し進めなければならない部分もある。そうした逆風と追い風の中で、これからのIT部門の役割も変わっていくだろう。その兆しが今回の調査で見えてきたと思う」と語った。

 ちなみに同調査では、CIOの役目についても「日本企業のCIOは、さまざまな改革の推進者であるCIO(Chief Innovation Officer)であることを期待されている」と指摘している。CIOもIT部門も、キーワードは「イノベーション」である。

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