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SaaS普及の道のりはまだ遠い――矢野経済研調べ:システムの保有から利用へ
矢野経済研究所が発表した企業のIT投資実態では、SaaS利用の拡大が見込まれるものの、IT投資全体に占める割合は低く、普及には相当な年数を要するとしている。
矢野経済研究所は3月26日、国内企業667社を対象に実施したIT投資実態に関する調査結果を公表した。ASPサービスを含むSaaS(サービスとしてのソフトウェア)や保守・運用サービスで安定した成長が見込まれるが、その割合は小規模にとどまっている。
2008〜2010年度におけるIT投資額の構成推移では、2010年度の構成比が2008年度よりも減少するのが「ハードウェア」「ベンダーまたは自社開発」「パッケージ(カスタマイズを含む)」だった。一方、高くなるのは「SaaS(またはASP)」「保守・運用」「保守・運用アウトソーシング」だった。
SaaS(またはASP)の構成比は、SaaSの構成比は2008年度の全体平均で1.1%、2010年度は1.5%になると予測。売上高1000億円以上では2008年度が2.2%で、2010年度には2.8%になるとみている。2008年度は特に公共や金融、情報・通信業界で高く、2010年度には公共、加工製造業、サービスで上昇する見込みとなった。また売上高別の傾向では、100億円以上の企業において2010年度まで安定した成長が見込まれることが分かった。
同社はSaaSによってシステムの「保有」から「利用」への流れが明らかになったものの、構成比規模はまだ僅かであり、普及には相当の年数を要すると予測。大企業でのSaaS利用が広がれば、普及ペースに弾みが付くと指摘している。
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