富士通、ブレードサーバ「PRIMERGY BX900」を販売開始:最高クラスの集積度
富士通は、業界最高クラスとなる18枚のサーバブレードを搭載可能なブレードサーバの新製品「PRIMERGY BX900」を販売開始。国内拠点で製造し、7月末より出荷する。
富士通は5月12日、ブレードサーバの新製品「PRIMERGY BX900」を販売開始すると発表した。同製品は富士通の設計・開発思想である「The Dynamic Cube」に基づき開発されたものとなる。
The Dynamic Cubeは具体的に、「動的な電力制御と冷却技術の採用による電力・CO2の削減」、「仮想化環境における運用性の向上」、「業務継続性の追求」、「次世代を見据えた高速インタフェース・大容量シャーシ」の4要素からなる。従ってPRIMERGY BX900には、これらを実現する特徴が盛り込まれている。
「電力・CO2の削減」については、電源変換時に発生する電力ロスの低減や、ファン回転制御などにより、同社従来機と比較して約40%の省電力化を実現した。また、電力上限制御や周囲の環境に応じた自動制御の機能を搭載する。冷却技術にはより低風量・低風速のものを採用し、データセンター内の空調コスト削減を支援するという。
なおPRIMERGY BX900では、インテルXeonプロセッサ5500番台(Nehalem-EP)が採用されている。シャーシには18枚のサーバブレード(36CPU/144コア)、1.29テラバイトのメモリ搭載量、216本の毎秒1ギガビットLANポートを実装でき、仮想環境での運用に適した集積が可能となっている。これらの「運用性の向上」を図るため、サーバの可視化・自動化ソフトウェア「ServerView Resource Coordinator VE」が提供(2009年6月末より出荷開始、税別21万円より)され、サーバ/ストレージ/ネットワークを一元管理できるという。これにより例えばユーザーは、リース切れや償却が迫る5年前の1Uラック型サーバ230台分をPRIMERGY BX900の1シャーシに集約することで、従来機比約96%のスペース削減が期待できるという。
このシャーシに搭載されたコンポーネントはすべて冗長化され、クラスタやSANブートを利用した自動リカバリ運用に対応する。各コンポーネントはホットスワップに対応しているため、障害が発生してもシステムを停止することなく保守・交換作業が可能。これによりユーザー環境の「業務継続性を追求」する。
ミッドプレーンには10ギガビットシリアル伝送技術を実装し、「高速インタフェース・大容量シャーシ」となっている。これにより毎秒6.4テラビットの大容量データ転送が可能となり、今後普及が見込まれる40ギガビットイーサネットにも対応できる。
価格および提供時期は次の通り。国内のユーザーに対しては、福島県伊達市の富士通アイソテックで製造し、出荷するという。
製品 | 価格(税別) | 提供時期 |
---|---|---|
PRIMERGY BX900 S1 シャーシ | 68万円〜 | 2009年7月末 |
PRIMERGY BX920 S1 サーバブレード | 20万2000円〜 |
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