SaaS市場が好調、PaaSも今後は「爆発的な伸び」に:ミック経済研究所調べ
ミック経済研究所は、SaaS市場の国内市場予測をまとめた。SaaSは年率20%近い伸びを見せたほか、PaaSも順調に市場規模を拡大している。
調査会社のミック経済研究所は6月16日、ネットワーク経由でソフトウェアの機能やサービスを提供するSaaS(サービスとしてのソフトウェア)の国内市場予測をまとめた。不況の影響で低迷するITサービス市場において、SaaSは年率20%近い伸びを見せ、好調さを維持した。
調査によると、2008年のSaaSサービス市場は前年比119.4%の1569億円だった。SaaSは1カ月程度からサービスの契約ができ、バージョンアップやサポートの費用が掛からないなど、情報システムの拡充に伴う初期投資を抑えられる点が受け、前年から20%弱市場規模が拡大した。
2013年度のSaaSの市場規模は、2008年の2倍強に当たる3166億円になる見通し。2009年度から2013年度までの5年間は平均16.9%の成長率を見せるという。
PaaSは今後「爆発的な伸び」に
2008年度の市場規模のうち、SaaSを開発・運用する環境をネットワーク経由で提供するPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)は52億円。市場全体に占めるPaaSの構成比は3.3%にとどまった。SaaSに比べて市場規模の拡大は遅れているが、2009年には前年比で倍増の109億円に上る見通しだ。
2007年度の市場規模が4億円だったPaaS市場は、2008年、2009年と大きく伸びている。これを受け、2013年度には2007年度の76倍に当たる305億円にまで拡大するなど「爆発的な伸びを見せる」(ミック経済研究所)。同研究所は市場の伸びをけん引するPaaSとして、専用のIT基盤を貸し出す日立ソフトウェアエンジニアリングの「SecureOnline」や、ハードウェアやミドルウェア、運用管理のノウハウを組み合わせて提供するNECの「RIACUBE」を挙げている。
同調査は、国内でSaaS、PaaSを提供する企業73社を調査し、売り上げや業種別の動向、事業戦略を分析した。
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