NEC、成果連動を取り入れたクラウド型ERPを発表
NECがクラウド型ERPの提供を9月に開始する。生産・販売管理分野のERPは、在庫数などの成果目標を反映させた価格を設定して提供する。
NECは8月19日、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)型のERPソリューション「EXPLANNER for SaaS」の販売を9月に開始すると発表した。サービスの提供は12月を予定している。
EXPLANNER for SaaSは、NECが提供するERPパッケージソフト「EXPLANNERシリーズ」を基に開発したサービス。販売、会計、人事、給与といった基幹業務を対象とするERPの機能をネットワーク経由で提供する。
ERPの機能をSaaSとして切り出すだけでなく、コンサルティングサービスや業務モデルのテンプレートを組み合わせて提供するのが特徴。EXPLANNER for SaaSとともに提供するサービスは「IT構造改革企画コンサルティング」および「BST業務モデリングサービス」の2種類。
IT構造改革企画コンサルティングは、NECの専門コンサルタントが企業のIT戦略を最適化する計画を立案する。価格は1000万円(税別)から。BST業務モデリングサービスは、生産や販売などの業務領域に対して、100種類以上のテンプレートから業務モデルを策定する。価格は200万円(税別)から。
生産・販売関連のSaaSには、業務の成果に連動したサービス価格を適用。BST業務モデリングサービスを適用した顧客と、在庫数などの計測可能な成果目標を設け、達成度と連動したサービス価格を年度ごとに更新する。個別のカスタマイズが必要になりがちな生産・販売管理分野のERPを成果連動型のSaaSとして提供するのは、国内初の取り組みという。
コスト削減にも効果を発揮する。EXPLANNER for SaaSとコンサルティングサービスを導入した場合、従来のシステムインテグレーションによるシステム構築と比べて、システムの導入や運用に掛かるコストを5年間で最大2分の1に低減できる試算もある。
NECは、グループ会社全体のガバナンスの強化を目指す大手企業のIT部門や、SaaS型ERPの導入を検討している中堅・中小企業に売り込む。東名阪地域の営業活動を担当するNECネクサソリューションズの販売網も活用する。
EXPLANNER for SaaSは、NECが4月に発表したプライベートクラウド構築サービス「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」の1つという位置付け。NECはクラウド関連の事業において「中期で1000億円の売り上げ」を目指しており、EXPLANNER for SaaSを積極的に拡販していく。
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