疲弊しない会議を実現する4つのステップ:ビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)
時間が長くて結論が出ない……こんな会議に出くわすことはないだろうか。会議の目的や決めごとをきちんと定めるというちょっとした工夫を凝らすことで、「参加者が疲弊しない会議」は実現する。
ステップ3:会議の時間をはっきりとさせる
限られた時間を最大限に活用するには、会議の時間もはっきりと決めておくと効果的だ。冒頭の例なら「中間決算に30分、○○事業の提案の方向性決めに60分、そのほかの振り返りは30分――と配分し、○時には会議を終了しましょう」と参加者に宣言する。これにより、参加者は時間内に結論を出し、会議を終えようとする意識が働く。
具体的な時間配分をしておくと、1つの議題が延長しそうになっても、「予定時間が過ぎてしまったため、次の内容に移ろうと思うのですがいかがでしょうか?」と切り出しやすい。時間を区切ることで、「予定より進行が遅れているので、早く結論を決めなくていいのでしょうか?」といった参加者からの能動的な発言も期待できる。結論もおのずと決めやすくなるはずだ。
ステップ4:会議の進め方の合意をとる
「何を決めたいのか(ステップ2)」「どのように会議を進めたいのか(ステップ3)」を明確に伝えたら、その合意を取ろう。やり方は簡単で、「このように会議を進めますが、よろしいですね?」と確認を取るだけだ。何人かの人は軽くうなずいてくれるだろう。これがあると、会議が脱線したり時間が超過したりしたときに、軌道修正を行うための言葉が掛けやすくなる。
会議目的と時間を意識させながら会議をする事例
わたしが普段クライアントに対して行っているコーチングは、言い換えれば「相手と私の会議」である。そこで、相手と話を進める上で、「会議を円滑に進める4つのステップ」を意識的に使っている。
まず、コーチングを始める前に、「今回のテーマ(一言で)」「コーチングで得たい具体的な内容」などのアジェンダを、電子メールで送ってもらうことにしている。決めたいことを事前に明確にしていただくことが狙いだ。また、アジェンダがあることでスムーズにコーチングを始めることができる。
コーチングが始まると、時間を気にせずに話を続けようとするクライアントもいる。そこで、コーチングの目的を明確にし、時間を意識してもらうために、コーチングを始める前には必ず、「60分後に得ていたい成果は何ですか?」「60分経ったときに、何が手に入っていたらいいと思いますか?」と問い掛けるようにしている。これにより、「何のためにこの時間を使うのか?」というイメージが明確になり、「時間は60分であること」という意識付けをすることができる。そして「では、今日のテーマは○○ということでよろしいですね?」と合意を取ってからコーチングを始めるのだ。
会話が当初の目的とずれてきたり、時間内におさまりそうにないと感じたりしたときには、「最初の目的は○○でしたが、このままお話していて大丈夫ですか?」「このままでは時間内に終わりそうにありませんが、このまま続けてもいいですか?」とお伺いするようにしている。こうすることで、クライアント自身が時間を意識し、その中で最善の結論を出そうとしてくれるのだ。
限られた時間で行う会議だからこそ、活発な議論を引き出し、最大の成果を上げたいものだ。みなさまも今回紹介した4つのステップを意識しながら、会議を進めてみてはいかがだろうか。
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著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)
テイクウェーブ代表。自動車メーカー、コンピュータ会社を経て、現在は、経営者・起業家・リーダー層を中心としたビジネスコーチング、人材教育に従事。システムエンジニア時代には、プロジェクトマネジメントにコーチングや神経言語学を生かし、組織活性化を実現。この経験を生かして、クライアントの夢が現実になるよう、コーチングの現場で日々奮闘している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。
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