OracleのSun買収、欧州との合意を導く3つの作戦(2/2 ページ)
Sun買収をめぐるOracleの8カ月にわたる戦いが、ようやく終わりそうだ。情報筋によると、同社と欧州委員会の対立は解消され、合意は間近であるようだ。
影響はそれだけにとどまらない。データベース分野で非常に重要な競合製品をまた1つ支配下に収めるOracleは、憤激するMySQLコミュニティーから強欲な企業とみられるだろう。MySQLコミュニティーだけにとどまらず、ほかのオープンソース支持者や、エンタープライズスタックのLAMP(Linux、Apache、MySQL、Perl/Ruby)と何らかの関係を持つ人々も同じように考えるだろう。
MySQLの鶏小屋を狙うOracleギツネが5年間はおとなしくしていることを欧州委員会に信じさせるのは、容易ではなかったようだ。だがOracleの作戦は功を奏した。その理由は3つある。
理由その1:10項目の降伏合意文書
聴聞会後の12月12日と13日にOracleが作成して欧州委員会に提出し、14日に公表した10項目の降伏合意文書の効果。情報筋によると、Oracleが見せた謙虚な姿勢が政治的な効果をもたらしたようだ。
このリストがどういう経緯で作成されたのかという疑問も一部で取り沙汰されている。Oracleの法務チームが、MySQLのザック・アーロッカー氏、OracleのLinux指導者のウィム・コーカーツ氏、SunのLinux専門家(そしてDebian Linuxの共同開発者)であるイアン・マードック氏といったオープンソースの国際的著名人の協力の下で慎重に作成したのだろうか。それとも、MySQLの共同開発者のマイケル・“モンティ”・ウィデニウス氏のブログから抜粋しただけなのだろうか。ウィデニウス氏は12月12日、欧州委員会でOracleが経験した惨劇から立ち直るには、同社が何をする必要があるのかを示した(Oracleの主任弁護士は公聴会の最後に「次は法廷で会おう」と怒りをあらわにした)。
理由その2:多国籍企業からの助け舟
OracleとMySQLの顧客として絶大な影響力を持った多国籍企業(Ericssonなど)がOracleに助け船を出した。これらの企業は、OracleとMySQLの両方を大いに利用していると述べた上で、Sunの落日がこのまま続けば自社のIT業務に大きな支障が出る理由を説明した。
理由その3:エリソンCEOの影響力
黒幕として背後に控える魔術師ラリー・エリソン氏の影響力。「ラリーは欲しい物があれば、大抵それを手に入れる」というのがアナリストと業界関係者の一致した意見だ。
今年はOracleとSunにとって険しい道のりの1年だった。不透明な状況のせいで、Sunは多くの潜在的販売機会を失っている。IBM、Hewlett-Packard(HP)、Dell、Microsoft、Red Hat、Novellといった企業は、この1年間のSunの苦境を既存顧客や潜在顧客に強調するのにためらいを見せていない。
1月27日以前に、ほかの何らかの要因で買収に障害が生じることもあり得ないことではないが、その可能性は低い。この件で権限を有する欧州委員会のDG Comp(Director General-Competition:競争総局)の担当者たちは、MySQLがOracleを新しい親として生き残ることで満足しているようだ。
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