課金サービスの柱「アメーバピグ」、友達招待で収益拡大狙う
サイバーエージェントの「アメーバピグ」が会員数増加を目指して、「友達招待」による新キャンペーンを開始した。課金事業の柱であるアメーバピグの利用者を増やし、収益を拡大させたい考えだ。同施策からは、既存ユーザーの取り込みと新規ユーザー獲得の両立が、課金サービスの成功と結び付くことが見えてくる。
サイバーエージェントが運営する仮想空間のコミュニティーサービス「アメーバピグ」が好調だ。2009年2月19日に開設し、2010年1月現在で約200万人の会員を集めた。会員は男女比が3対7。10〜40代が満遍なく集うサービスに成長している。
アメーバピグは、アメーバブログなどを含む同社のAmeba事業において、「課金サービスの柱」(Amebaプロモーション室広報)という位置付け。Ameba事業の2009年10〜12月の課金サービスの売上高が5億6500万円で、その70%を占めるのがアメーバピグだ。3カ月で「3〜4億円」、1カ月では1億円以上の売り上げをもたらしている。
そんなアメーバピグが新たなキャンペーン「友達全員ピグとも祭」を開始した。同キャンペーンはアメーバピグの利用者が知り合いを招待すると、「アメゴールド」と呼ぶ仮想通貨が付与される。1アメゴールドは1円で購入でき、この仮想通貨を使って、ピグと呼ばれるアバターのアイテムを購入する仕組みだ。
新キャンペーンでは、招待した利用者がログインをすれば、招待者に300アメゴールドが付与される。また招待人数に応じて「金色のパンダ(アメーバピグではパンダはなかなか購入できないペット)」もプレゼントする。既存の利用者が新規の利用者を自発的に開拓するような仕掛けを取り入れた。
これまで取り込めなかったユーザーを、友達全員ピグとも祭によってすくい上げる意図もある。「知り合いがいない新規利用者はアメーバピグ上で何をしていいか分からず、楽しさを体感する前に離れてしまうこともある」(広報)。自分の友達が使っていることでアメーバピグのサービスや世界観に溶け込みやすくなり、「ヘビーユーザーになる可能性が高い」と判断した。
現在、アメーバピグでは1カ月に30万人程度の新規会員を獲得しているが、同キャンペーンにより3月中に会員数を300万人にしたい考えだ。今後は他社と提携し、アメーバピグ上で商品のプロモーションを展開していく構想もある。そのためにも会員数の一層の底上げは不可欠だ。「現実世界の友人が(アメーバピグに)いると、アクティブユーザーや課金アイテムの売り上げも増えるのでは」(広報)
「友人の招待」に着目した新キャンペーンでは、アメーバピグ上で現実生活の人と人のつながりを再現しようとしている。「新商品を身につける感覚」でアイテムを購入する既存の利用者をインセンティブで活性化させ、新たな利用者の取り込みまでを狙うことが、コミュニティーサービスの課金化にも一役買いそうだ。キャンペーンは2月1日から5月11日まで実施する。
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